読書感想『カジノのイカサマ師たち』

ざっくり言うと

  • パスト・ポスティングのすべてがわかる本
  • この本が名著と言われる所以は、何よりも実話であること
  • カジノ関係者は必読の書。とくにカジノディーラーを目指す人には

「パスト・ポスティング(後張り)で逮捕」の記事を紹介して以降、どうしても『カジノのイカサマ師たち』が読みたくなり、書斎を探しまくって見つけ出しました。

「カジノのイカサマ師たち」 ,リチャード・マーカス(著), 真崎義博(訳),文藝春秋



本著の出版は2004年で、残念ながら今は絶版となっていますが、一部の方には絶大なる人気のようで、今でも中古でそこそこ出回っています。

名著中の名著につき、購入するならお早めに!(おそらく手に入らなくなります)
特にカジノディーラーを目指す方には、必読の書です。

この本が名著と言われる所以は、何よりも実話であること。パスト・ポスティングの世界では殿堂入りとなる歴代の名イカサマ師が登場し、パスト・ポスティングの誕生からその進化の過程、パスト・ポスティングのテクニックまでも包み隠すことなく詳細に描かれています。

とくに、驚愕すべきはその描写の細かさ。主人公のイカサマ師だけでなく、ディーラー、フロアマン、ピットボスなど、すべての登場人物の息づかいまでも伝わってきそうな生々しさです。

本書は、文庫にもかかわらず573ページもあり、感覚的には8割がカジノ内のできごと、5割がパスト・ポスティングの描写といったところでしょうか。とにかく、この本を1冊読めばパスト・ポスティングの何たるかがすべて理解できるいっても過言ではありません。

※パスト・ポスティング(Past-Posting)とは、当たりが確定した後(もしくは受付終了後)にベットする(またはベットを取り下げる)、極めてシンプルなイカサマです。

CAZYがこの本をはじめて読んだのはもう10年以上も前。その時は自身をイカサマ師に重ねて、イカサマがばれるのではないか、捕まるのではないかと、ハラハラ・ドキドキしながら読んだものです。

ですが、今はすっかり立場が変わったこともあり、今回はディーラーの視点で読み返したのですが、あまりの気づきの多さに驚かされました。ディーラーが目の前で行われるイカサマをなぜ見抜けないのか、見抜かせないためにイカサマ師が何を仕掛けているのかもよくわかります。また、ディーラースクールで徹底的に仕込まれた所作が何のために行われているのかも納得できました。

例えば、ルーレットでは、ルーレット専用チップの上にチェック(テーブルゲームで使用する一般的なチップ)を置くのか、重ねて置かれたチップをきちんと整えるのか、配当のチップを取る際に体をひれるのではなく数歩下がるのか、一定額が賭けられたことをフロアマンに伝える「チェックス・プレイ」のコールなど、すべてイカサマを防止するための明確な理由あってのことでした。


最後に、本著が書かれたのは15年も前で、メインとなっている舞台も1970~90年代と半世紀前の話ですが、登場するイカサマ師たちのテクニックは今でもディーラーの目を十分欺けるものだと思います。恥ずかしながらCAZYがディールしているテーブルでこのイカサマが行われても、見つける自信はありません。

ただし、当時と今とではシステムによるセキュリティレベルはまったく異なっています。ディーラーの目は騙せても、高感度カメラやICタグで管理されたチップの動きを欺くことはできません。本書に登場するイカサマは、テクノロジーの進化によって、現在ではほぼ実現不可能(発見・検証可能)なものとなってしまいましたが、それを差し引いても超おススメの1冊です。

とくに、先日、ダイヤモンドオンラインでカジノディーラーを目指す人が急増しているという記事を目にしましたが、これからカジノディーラーを目指す人は、絶対に読んでおくべき1冊だと思います。