IR実施法における付帯決議(31項目)

ざっくり言うと

  • 自民、公明、国民民主、日本維新の会の4党は、IR法案の付帯決議を共同提出。
  • 参議院野党第1党の国民民主党は、付帯決議を条件に採決を承認。
  • 野党が批判するだけの意味のない審議ではなく、付帯決議がつく建設的な採決がなされた。

最大野党の国民民主党は、IR法案の成立そのものには最後まで反対のスタンスを維持しつつ、付帯決議を条件に採決を承認しました。

付帯決議とは、法案の採決にあたって条件や補足を付け加えることで、今後の施策に対して一定の政治的制限を設ける手法です。ただし、付帯決議そのものに法的な強制力はありません。今回の付帯決議では、カジノ誕生における懸念事項が31項目に渡って明記されました。

今回のIR法案は、与野党が散々罵倒し合った挙句、強行採決となる一般的な国会審議とは異なり、野党主導の付帯決議によって法案を正しく実施するための道しるべを設けた、極めて建設的な審議がなされました。逆に言えば、野党にとっても与党に丸投げできない、それだけ重要な法案だったんだと思います。

以下に、付帯決議の全文を記載しますが、カジノが合法になること以外は、まだほぼ白紙の状態です。今後は、省庁・地方自治体・国民・企業を巻き込んで、より熱い審議が続いていくことになります。


「特定複合観光施設区域整備法案に対する附帯決議(案)」(PDF)
「カジノ反対!そして付帯決議を得た理由」IR法案で舟山参院国対委員長

※以下、PDFが縦書きで読みにくかったので、テキスト化しています。

特定複合観光施設区域整備法案に対する附帯決議(案)
平成三十年七月十九日
参議院内閣委員会

本法の施行に当たっては、次の諸点について適切に対応するべきである。


政府は、特定複合観光施設区域整備に係る基本方針の策定、区域整備計画の認定等の各段階において、カジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除、国際競争力の高い魅力ある滞在型観光の実現を通じた観光及び地域経済の振興並びに財政の改善の観点から十分な検討を行うこと。


政府は、特定複合観光施設区域に設置される中核施設の基準に関する政令を定めるに当たっては、各施設が設置運営事業等の公益性を確実に担保するものとなるよう留意すること。また、送客施設については、単なる観光案内所ではなく、全国各地の観光及び地域経済の振興に寄与するものとなるよう、適切な基準を設けること。


政府は、特定複合観光施設、とりわけカジノ施設の顧客の多くを日本人が占める可能性があることに鑑み、区域整備計画の認定、認定区域整備計画の実施の状況の評価に当たっては副次的弊害の防止に配慮するとともに、外国から多くの観光客を呼び込むとの観点を重視すること。


政府は、本法施行後最初にされる区域整備計画の認定の日から起算して七年後の認定区域整備計画数の上限の見直しについて、特定複合観光施設区域の整備による経済効果及び周辺地域も含めた治安等への負の影響を検証した上で、慎重に検討すること。


区域整備計画を申請する都道府県等は、同計画の作成等において、公聴会等の開催や情報開示を通じ、住民の合意形成に努めること。また、政府は、同計画の審査の際、特定複合観光施設区域の整備に対し、同計画を申請する都道府県等及び立地市町村等における住民の意見を反映させるために必要な措置が講じられていることを確認すること。


区域整備計画を申請する都道府県等は、実施方針の策定及び変更、民間事業者の選定、区域整備計画の作成等に関する事項を協議する都道府県等の協議会については、カジノ事業者に関係する者以外の意見を適切に反映すること。


国、都道府県等は、海外のカジノ事業者が民間事業者に選定されることを目指した働きかけに対し、収賄等の不正行為を防止し、選定の公正性・透明性を確保すること。


政府は、区域整備計画の申請の期間に関する政令を定めるに当たっては、各地方公共団体による申請を公平に受けられる期間とするとともに、同計画を認定したときは、国会に報告すること。


政府は、事業計画に関する国土交通省令を定めるに当たっては、設置運営事業等の公益性を確実に担保するとの観点から、設置運営事業者等がカジノ事業の収益をカジノ施設以外の施設の設備投資等に確実に充てるよう必要な措置を講ずること。

10
政府は、設置運営事業等の廃止に関する国土交通省令を定めるに当たっては、当該廃止の是非の適切な判断に資するよう必要な措置を講ずること。

11
政府は、カジノ事業に参入しようとする民間事業者等に対する背面調査の実施に当たっては、関係行政機関との十分な連携を図りつつ、厳格な調査を実施するとともに、カジノ事業者への免許付与後も継続的にモニタリングを実施することにより、反社会的勢力の排除を徹底し、カジノ事業に係る廉潔性の確保に万全を期すこと。

12
政府は、カジノ施設利用約款の記載事項及びカジノ事業者が同約款の内容を顧客に提供する方法に関するカジノ管理委員会規則を定めるに当たっては、カジノ施設内の秩序保持、不正行為の防止、依存防止対策等の観点を踏まえ、顧客によるカジノ施設の適切な利用の確保に資するものとなるよう留意すること。

13
政府は、カジノ施設への入場回数制限並びに入場料及び認定都道府県等入場料とカジノ行為に対する依存との関連性について、カジノ事業者等の協力を得て検証し、必要に応じて、適切な対策を講ずること。

14
政府は、カジノ行為の種類及び方法に関するカジノ管理委員会規則を定めるに当たっては、カジノ事業の健全な運営を確保するとの観点から、十分な検討を行うこと。

15
政府は、カジノ行為の公正性を確保し、又は著しく顧客の射幸心をそそることを防止するために必要なカジノ行為に関する基準に関するカジノ管理委員会規則を定めるに当たっては、ギャンブル等依存症に関する国内外の調査・研究の成果を反映させるよう努めること。

16
政府は、依存防止規程に関するカジノ管理委員会規則を定めるに当たっては、同規程に基づく依存防止措置が実効性のあるものとなるよう留意すること。また、カジノ事業者への免許付与後においては、依存防止規程の遵守についてカジノ事業者に徹底させるとともに、依存防止措置の実効性の検証を行い、必要な措置を講ずること。

17
政府は、カジノ行為に係る依存症対策について、ギャンブル等依存症対策基本法に基づき、国内外の動向に留意しつつ、既存のギャンブル等に係る依存症対策に加え、予防から治療・社会復帰に至るまでの必要な対策を講ずること。

18
政府は、特定金融業務に係る帳簿書類の作成・保存に関するカジノ管理委員会規則を定めるに当たっては、当該業務の事後的な検証に資するものとなるよう留意すること。

19
政府は、カジノ事業者による特定資金貸付業務がカジノ行為に対する依存を助長することのないよう、慎重な検討を行った上で預託金の額を定めること。また、多重債務等の問題が生じないよう、カジノ事業者に対し顧客の返済能力に関する調査を徹底させるとともに、貸付限度額の把握に努めること。

20
政府は、特定資金貸付業務における取立て行為において顧客に電話等をしてはならない時間帯に関するカジノ管理委員会規則を定めるに当たっては、過剰な取立て行為を防止する観点を踏まえ、十分な検討を行うこと。

21
政府は、マネー・ローンダリング防止のために講じられるチップの他人への譲渡、カジノ行為区画外への持ち出しの禁止等の措置の実効性確保のため、犯罪収益移転防止規程に係る審査等を通じて、カジノ事業者による顧客管理措置を徹底させること。また、カジノ事業者が届け出た疑わしい取引に関する情報等について、集約、整理及び分析を徹底して行うこと。

22
政府は、一定額以上の現金取引の届出対象となる取引及び金額に関する政令や、チップの交付等に対する顧客の支払手段及び特定資金移動業務における金融機関に関するカジノ管理委員会規則を定めるに当たっては、マネー・ローンダリング対策に万全を期すとの観点から、十分な検討を行い、必要な措置を講ずること。

23
政府は、カジノ事業及びカジノ施設に関する広告及び勧誘の規制がカジノ行為に対する依存防止及び青少年の健全育成の観点から重要なものであることに鑑み、特定複合観光施設区域外で広告物の表示が禁止されない施設に関する政令を定めるに当たっては、当該施設を可能な限り限定すること。

24
政府は、カジノ行為関連景品類の内容、経済的価値及び提供方法に係る基準に関するカジノ管理委員会規則を定めるに当たっては、カジノ行為関連景品類の提供がカジノ施設の過度な利用を誘発することのないよう留意すること。

25
政府は、カジノ施設及びその周辺における秩序の維持のための措置に関するカジノ管理委員会規則を定めるに当たっては、カジノ施設を利用させることが不適切であると認められる者によるカジノ施設の利用の禁止・制限、カジノ施設及びその周辺における監視及び警備の実施に万全を期すこと。

26
政府は、カジノ事業の健全な運営に重大な影響を及ぼすカジノ関連機器等の種別、用途及び機能に関するカジノ管理委員会規則を定めるに当たっては、カジノ業務に関する不正行為の防止に万全を期すとともに、不断の見直しを行い、必要な措置を講ずること。

27
政府は、カジノ管理委員会の事務体制の整備に当たっては、同委員会の公正性、中立性に疑念を持たれることがないよう十分に留意しつつ、カジノ事業の監督を確実に行うことができるよう、必要な人材を確保すること。また、同委員会の職員が必要な能力を備えることができるよう必要な措置を講ずること。

28
カジノ管理委員会は、同委員会における審議について、透明性を確保するよう努めること。特に、本法において同委員会に委任された規則の策定については、その検討の経過を明らかにすること。

29
政府及び関係地方公共団体は、治安対策その他の弊害防止対策及びカジノ行為を含むギャンブル等依存症対策について、立地地方公共団体のみならず、周辺地方公共団体においても万全の対策を講ずること。このため、納付金や入場料による財源の活用を含め、財政的な措置の在り方について検討し、必要な措置を講ずること。

30
政府は、本法に基づく政省令等を定めるに当たっては、国会における議論を踏まえて検討を行うとともに、国会及び国民に対し十分な説明を尽くすこと。

31
政府は、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律附則第二項に基づき本法の見直しを行うに当たっては、本法に基づく政令、省令及びカジノ管理委員会規則に定める事項について十分な検討を行った上で必要な措置を講ずるとともに、その結果を国会に報告すること。

右決議する