日本で高額賞金のポーカー大会は開催できるのか?

ざっくり言うと

  • 参加費を徴収して高額賞金のゲーム大会を開催すれば、賭博行為として厳罰に処される。
  • 参加費を徴収せず、利害関係のない第三者がスポンサーとして賞金を提供するのであれば問題はなさそう。
  • ただし、スポンサーが間接的にでも収益を得れば、賭博とみなされる可能性は残る。

ラスベガスやマカオのカジノでは、毎日のように高額賞金のポーカー大会が開催され、入賞すると高額な賞金が現金で提供されています。これは、リアルカジノに限らずオンラインカジノも例外ではありません。一方で、現在の日本の法律では、参加者から参加費を徴収して同様の高額賞金のポーカー大会を開催すると、賭博行為として厳罰に処されることになります。

賞金制ゲーム大会につては、国際カジノ研究所の木曽崇所長が2016年夏に消費者庁に対して行った「法令適用事前確認手続」に詳細がまとめられています。

カジノ合法化に関する100の質問
総括:賞金制ゲーム大会を巡る法的論争

木曽氏の解釈を加味した見解では、賞金制ゲーム大会の開催には、風営法、景品表示法(景表法)、刑法の賭博罪と、クリアすべき法律の壁があり、現状では、競馬のような公営競技化、もしくは、そのイベントとは完全に利害関係のない第三者がスポンサーとして賞金を提供するしかないとのことです。


CAZYは、現在の実情を踏まえて考えた結果、参加費を徴収したらOUT、参加費がなく利害関係のない第三者がスポンサーとして賞金を提供する場合はOK、参加費はないが利害関係のある事業者がスポンサーになる場合はグレーゾーンだと解釈しています。

このグレーゾーンについてですが、既に大々的に開催されている高額賞金のゲーム大会が存在します。今年で6回目の開催となる麻雀日本一を決める『全国麻雀選手権』は、総額1,000万円の高額賞金を掲げ、昨年は4万1108人、これまでの5年間で、のべ22万6095人が参加しているとのことです。

グレーゾーンについては、賭博法制や風営法にくわしい山脇康嗣弁護士は、以下の工夫で法律の問題をクリアしているのではと説明しています。

(1)大会参加者から参加費等のお金をとらず、スポンサー等が賞金の原資を出すことによって、参加者が『財物の得喪を争う』という形はとらない。このため、賭博罪が成立しない。

(2)大会を反復継続的には行わず、麻雀店など風営法が適用される業者ではない者を主催者とすることによって、風営法の規制をクリアしている。

(3)客を誘いこむ手段として、取引に付随して景品を提供する場合は、景品表示法で、景品の限度額が設定されているが、大会の参加資格や申込方法をオープンにすることなどによって、限度額規制をクリアする。


また、AppBank社が開催する『POKER×POKER GRAND OPEN TOURNAMENT』では、当初は賞金に「総額1,000万円相当の仮想通貨SPINDLE」を提供するとされていました。しかしながら、後に賞金はゲーム内限定称号とゲーム内チップに変更されました。

※仮想通貨は、2016年の改正資金決済法で準通貨と定義されているため、言わずもがなですが、通貨と同等のものとして扱われます。

この賞金変更の理由が、法的な制限によるものなのか、SPINDLE プロジェクトを推進してきたBLACKSTAR&CO. 社の日本オフィス閉鎖を受けてのことなのかは定かではありませんが、いずれにしても、このまま関係省庁からの規制が入らなければ、同様のスキームを用いた類似事業が多数登場することは容易に想像ができます。


IR実施法が成立した今、関係省庁には、海外のカジノで一般的に行われている参加者から参加費を徴収して行うゲーム大会だけでなく、参加費を徴収せず高額賞金を提供するゲーム大会についても、明確なルールを決めていただくことに期待したいところです。


最後に、グレーゾーンでのサービス提供は、合法のお墨付きが得られれば魅力的な成長産業になりますが、反面、得られなければ関係者に多大な損失を与えてしまう可能性もあり、法令順守が大前提の上場企業が行うこととしては、時期尚早であり、極めてリスキーなチャレンジだと感じています。