違法オンラインカジノ対策は先進国に学べ(台湾・スイス)

ざっくり言うと

  • 言わずもがなですが、国が認めたもの以外のあらゆるギャンブルは違法
  • 現行法で裁けないならすぐに法改正で対応する台湾
  • 海外のオンラインカジノへのアクセスを遮断するスイス

昨年末にリリースされた記事を読み返す中で、「日本の法文にはオンラインカジノは違法と明記されていないので大丈夫」「オンラインカジノは危ないが海外で適法に運営されているスポーツベッティングは大丈夫」とするふたつの記事を目にしました。

CAZYは、オンラインカジノもスポーツベッティングも賛成派ですが、このふたつの記事は、あまりにも自身に都合よく法解釈したものであり、さすがに無責任すぎると思いました。

一般的な法解釈では、国が認めたもの以外のあらゆるギャンブルは違法であり、また、オンラインカジノもスポーツベッティングも賭博というくくりの中では大差はありません。

言わずもがなですが、オンラインギャンブルが違法なのは、国際カジノ研究所の木曽所長が2013年に受けた政府見解により明らかとなっています。詳しくは、木曽所長による「ファイナルアンサー:オンライン賭博は違法である」参照ください。

『一般論としては、賭博行為の一部が日本国内において行われた場合、刑法(明治四十年法律第四十五号)第百八十五条の賭博罪が成立することがあるものと考えられ、また、賭博場開張行為の一部が日本国内において行われた場合、同法第百八十六条第二項の賭博開張図利罪が成立することがあるものと考えられる。』(政府答弁より)

この政府見解は、現時点では、唯一無二のものであり、日本国内でのオンラインギャンブルを違法とする指針となっています。

しかしながら、この政府見解以降、政府は黙認を続けており、いわゆるオンラインギャンブルのプレイヤーに逮捕者がでていないのも事実です。政府の無策がオンラインギャンブルの拡大を助長する残念な状況となっています。そこで、今回は、違法なオンラインギャンブルへの対策について、海外の最新事例をふたつご紹介します。

 

◆オンラインカジノ対策について学ぶべきは台湾

一見、カジノとは無縁と思われる台湾ですが、オンラインカジノを取り締まることに関してはアジアの先進国となっています。

2019年9月10日、台湾法務省は、台湾刑法266条の修正案を発表しました。この法改正が承認された場合、オンラインカジノに参加した台湾市民は、最大NT$ 50,000(約18万円)の罰金が科せられることになります。

今回の法改正の背景には、台湾の現行法ではオンラインカジノを取り締まることができなかったことがあげられます。実際に、オンラインカジノに関する複数の訴訟において、控訴審で判決が覆され無罪となっていました。

台湾の刑法は、オンラインカジノが登場する前の1994年に制定されたもので、規制の対象とするギャンブルを「公共の場所または一般に公開されている場所で」と明記されていました。そのため、この現行法ではパブリックでもオープンでもないオンラインカジノを取り締まることができませんでした。

これを問題視した台湾政府は、オンラインカジノの普及が社会にマイナスの影響を与え、ギャンブル依存症の増加につながるとして、取り締まりの範囲をオンラインにまで拡大する見込みです。

 

◆非合法のオンラインカジノを撲滅するのはランドカジノ(スイス)

ランドカジノ(カジノ施設)のみが合法化されていたスイスは、イギリス、スウェーデン、イスラエルなどのオンラインカジノの参入が相次ぎ、同国のランドカジノはオンラインカジノに顧客と収益を奪われる事態に陥っていました。また、スイス政府も、自国のGDPや税収に一切還元されない海外のオンラインカジノをよしとはしませんでした。

そこでスイス政府は、2019年1月に施行された新賭博法に基づいて、国内4つのランドカジノ事業者にオンラインカジノの営業を認める方向に舵を切りました。加えて、政府が無許可のオンラインカジノへのアクセスを遮断することを可能とし、スイスのインターネット接続事業者(ISP)に対して、外国のオンラインカジノがサービス提供できないよう措置を講じることを義務付けました。

海外オンラインカジノへのアクセス遮断については、インターネットの検閲につながるとして反対する声もありましたが、政府は国民投票で7割を超える支持を獲得し、この訴えを退けています。

 

◆さいごに

現行法で裁けないならすぐに法改正で対応する台湾、海外のオンラインカジノへのアクセスを遮断するスイスと、政府が本気でオンラインカジノ対策に向き合うなら、打ち手はあることが示されました。

日本政府は、国内でのランドカジノ事業者に1兆円規模の設備投資を求めていますが、海外のオンラインカジノに顧客がながれてしまっては、本来見込まれる事業者収益も、そこから得られるはずのカジノ税も目減りしてしまいます。日本政府がこのまま黙認を続けるなら、日本のオンラインカジノ対策はランドカジノ事業者からの圧力に頼らざる得ないのかもしれません。