オンラインカジノは違法なのか?

ざっくり言うと

  • 成立したIR実施法案では、オンラインカジノ、スポーツベッティングは認めない方針
  • 認めない理由は、競技が施設外で行われ事業者が管理できないため
  • カジノ事業者は、法人税のほかにカジノ収益の30%を国と地元自治体に納める

オンラインカジノの違法性については、これまで事件となった前例がほとんどないため、相変わらずのグレーゾーンのままといったところです。しかしながら、今回のIR実施法案の成立に伴い、おそらくカジノ誕生の議論の中で、何らかの指針が示されることになるのでは。

まずは、これまでのオンラインカジノに関する事件を振り返ってみます。

<オンラインカジノで国内初となる逮捕者>
2016年3月、イギリスの企業が提供しているオンラインカジノ「スマートライブカジノ」で遊んでいた日本人のプレイヤー3人が「単純賭博容疑」で逮捕される事件がありました。

本件に関して、カジノ問題に詳しい渡邉雅之弁護士は、以下の見解を示されています。

「今回の逮捕は、日本人女性のディーラーがゲームを提供していること、日本語でやりとりができたこと、賭博の開催時間は、日本時間の夕方から深夜に設定されていること、といった日本人向けのサイトであったことが、特に重視されたようです。これは、オンラインカジノの実態が国内において行われていると評価できる場合には、たとえ無店舗型の海外サイトからのインターネットを通じたオンラインカジノであっても、プレイヤーが賭博罪に問われることを明らかにしたものと考えられるでしょう。」

出典:弁護士ドットコム
オンラインカジノの客、全国初の逮捕「海外サイト」なのに摘発されたのはなぜ?

ここで、ひとつはっきりすることは、サーバーが海外にあったとしても、実態が日本人のみを対象としたサービスの場合、違法とみなされる可能性が高いと考えた方がよさそうです。

となると、次に考えるべきは、海外の(国籍を問わず)不特定多数を相手にしたオンラインカジノに日本人が参加した場合の扱いです。

前述の事件には、実は続きがあります。略式起訴を持って有罪が確定し終了と思われていた本件ですが、そのうちの一人が内容を不服として裁判で争う姿勢を示し、結果、不起訴という驚きの着地をみせました。

本件に関して、弁護を担当した津田岳宏弁護士は、以下の見解を示されています。

「本日時点において,オンラインカジノプレイヤーが対象となった賭博罪被疑事件で争った案件は国内でただひとつであり,そのひとつは,不起訴となった。言うまでもなく,不起訴は不処罰であり,何らの前科はつかない。平たく言うと「おとがめなし」ということだ。営利の目的なく個人の楽しみとしてする行為を対象とする単純賭博罪の不当性をうったえ続けている弁護士として,この結果を嬉しく思う。そしてちょっぴり誇りに思う。」

出典:麻雀プロ弁護士津田岳宏のブログ
不起訴の勝ち取りーオンラインカジノプレイヤーの件

不起訴の理由を要約すると、海外で合法的なライセンスを得ている胴元を処罰できないのに、プレイヤーだけを処罰することは法律の原則に反するということのようです。拡大解釈かもしれませんが、日本人が海外の合法的なカジノでギャンブルを楽しむことと何ら変わらないということでしょうか。

真逆とも思えるふたりの弁護士の見解を紹介しましたが、では、今後どちらに向かうのかを考えてみます。今回成立したIR実施法案では、オンラインカジノ、スポーツベッティングは認めない方針で進んでいるようです。


◆オンラインカジノが解禁されないもうひとつの大きな要因

IR実施法案では、カジノ事業者に法人税のほかにカジノ収益の30%を国と地元自治体に納めることが義務付けられました。俗にいうカジノ税です。

ちなみに競合国のカジノ税率は、あくまでも目安となりますが、シンガポールは15%、ラスベガスは20%、マレーシアは28%、マカオは40%で、日本の税率はやや高めといったところです。シンガポールのカジノ売上は約5000億円で、日本で同等のカジノ営業が行われた場合、そこから毎年1500億円のカジノ税が期待できます。

ここで海外のオンラインカジノが解禁という話になれば、そこから日本が得られるカジノ税はありません。労力をかけてオンラインカジノを解禁しても何ら国にメリットがないとなると、なかなか意思決定が進まないのも納得ですかね。