
競艇史上、最悪レベルの八百長疑惑
ざっくり言うと
- 1兆5,000億円もの売上を誇る競艇の場で巻き起こった八百長疑惑
- 競艇は、ここ数年二桁成長を続け、約5年で市場規模を1.5倍に
- 胴元は、何があろうと清廉潔白であり続けなければならない
既報の通り、2019年7月2日、びわこボートレース場で開催された2レースで、事前に打ち合わせて、ボートレーサーの西川容疑者がわざと4着と2着になることで、親族の増川容疑者にそれぞれ50.1倍と57.3倍の3連単を的中させ、その見返りとして300万円が支払われたとされる本件。
八百長疑惑レース①(4分35秒)
転覆した艇を回避するための決まりもあるのでしょうが、疑惑の西川容疑者が3着に入りたくないと言わんばかりの遅走は、さすがに門外漢のCAZYから見ても違和感を覚えます。
そして、上記レースのわずか2ヵ月後、西川容疑者は、理由も告げず突然の引退となっています。
◆成長率ではナンバーワンの競艇
競艇は、公営ギャンブルの中で最も少ない6艇でのレースのため、単勝なら6分の1、2連単で30分の1、3連単でも120分の1と、最も当たりやすい公営ギャンブルです。また、レース会場、コース(出走位置)、モーターなど結果に大きく影響する要素が多く、他の公営ギャンブルに比べて、予想のしやすいギャンブルとも言われています。
そこに、ネット投票の手軽さが相まって、ここ数年二桁成長を続け、約5年で市場規模を1.5倍にまで拡大させています。好調の表れなのか、競艇はいち早く2019年度の売上を発表していますが、成長率では競馬を超える1番の伸びとなっています。
<競艇の年度別売上高>
2014年度:9,953億円(105%)
2015年度:10,423億円(105%)
2016年度:11,112億円(107%)
2017年度:12,379億円(111%)
2018年度:13,728億円(111%)
2019年度:15,342億円(112%)
◆ギャンブラーにとって、最も許せないのが八百長
目下、絶好調の競艇ですが、今回の八百長疑惑で一気に客離れが起こったとしても不思議ではありません。
公営ギャンブルでは最も当たりやすいとされる競艇ですが、そのハウスエッジ(胴元の取り分)は25%に設定されており、結果、多くの競艇ファンが辛酸をなめているのが実情です。
ギャンブルでは、一度でも疑いの目が向けられてしまうと、たとえそれがどんなにフェアなレースであったとしても、自身の投票券がはずれた瞬間、裏で何かインチキが行われたようにしか思えなくなります。そして、バカバカしくなって、おのずとそのギャンブルから足が遠のいて行きます。
だから、胴元は、何があろうと清廉潔白であり続けなければならないのですが、今回の八百長疑惑はファンの足を遠ざけるには十分であり、また、一度失われた信頼はそう簡単に戻ってくるものではありません。
◆さいごに
巷では、政界を舞台にしたカジノ疑獄に目が向けられていますが、ギャンブルの不祥事としては、1兆5,000億円もの売上を誇る競艇の場で巻き起こった八百長疑惑の方が、はるかに深刻だと感じています。
現時点では、西川容疑者と増川容疑者は、ともに逮捕こそされていますが、名古屋地検特捜部はその後の認否を明らかにしていません。本件、今後どれだけ大きな不祥事に発展するのか、ことの顛末を注視していきたいと思います。
<10月21日追記>
判決がでました。懲役3年の実刑です。
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