競馬がAIで攻略可能なことが証明される(追徴課税10億円)

ざっくり言うと

  • 名古屋国税局は、約18億円を稼いだ中国人に対して約10億円の税金を課す
  • 本件で公営ギャンブルがAIによって攻略できることが証明される
  • 公営ギャンブルは、もはや、勘・経験・度胸で勝負する時代ではない

2020年7月21日、中日新聞が報じた記事によると、名古屋国税局は、独自の競馬予想ソフトを使って約18億円を稼いだ中国人男性に対して、約10億円の税金を課すとのこと。なお、この中国人は、既に上海に帰国しているとのことです。

「2018年までの5年間に競馬の当たり馬券で得た利益約18億円を申告していなかったとして、名古屋市中区の30代の中国人男性が昨年、名古屋国税局の税務調査を受け、所得隠しを指摘されていたことが関係者への取材で分かった。追徴税額は重加算税などを含め約10億円にのぼるもようだ。」(中日新聞より)

記事によると、中国人男性は、的中させた勝ち馬券の払い戻しが約95億円あり、馬券購入代など経費77億円を差し引いた利益が約18億円あったという。中国人男性は留学のために来日し、大学卒業後、副業として中国の投資グループから資金提供を受け、独自の競馬予想ソフトを使ってインターネットで馬券を大量購入していたとみられています。

 

◆当たり馬券で得た利益への税金

当たり馬券の税金は、長年にわたって法廷の場で争われてきましたが、下記ふたつの判決によって決着しました。

①最高裁平成29年12月15日判決は、本件の競馬の馬券の払戻金については、馬券購入の態様や利益発生の状況等から雑所得に該当し、外れ馬券の購入費用は必要経費に該当する

②東京高裁平成28年9月29日判決(最高裁平成29年12月20日上告棄却)は、本件の競馬の馬券の払戻金については、馬券購入の態様や利益発生の状況等から一時所得に該当し、外れ馬券の購入費用は必要経費に該当しない

【国税庁】最高裁平成29年12月15日判決及び東京高裁平成28年9月29日判決の概要


つまり、競馬を事業として行っていたかどうかによって、必要経費に認められる範囲が異なり、税額が大きく変わってきます。

<①のケース>
競馬を事業として行っていた場合、収入は雑所得と判断され、外れ馬券は経費になります。

課税所得金額(雑所得)=総収入金額-必要経費


<②のケース>

競馬が単なる趣味の場合、収入は一時所得と判断され、外れ馬券は経費になりません。
※パチンコやカジノのゲームも一時所得です。

課税所得金額(一時所得)=(総収入金額-収入を得るために要した費用-50万円)×2分の1

<①②共通>
所得税額=(課税所得金額 x 税率 - 控除額) x 1.021(復興特別所得税)
※税率、控除額は、所得金額によって異なります

<所得税の税率早見表>
所得金額 税率 控除額
195万円以下 5%  0円
196万円~330万円  10% 97,500円
331万円~695万円 20% 427,500円
696万円~900万円 23% 636,000円
901万円~1,800万円 33% 1,536,000円
1,801万円~4,000万円  40% 2,796,000円
4,001万円以上 45% 4,796,000円

 

◆本件の税額計算

本件の場合、5年間にわたって77億円の馬券を購入しており、事業として競馬を行っていたと考えられるため、経費が認められる雑所得となります。

課税所得金額(雑所得)=総収入金額-必要経費
           =払戻し金額-(外れ馬券金額+その他の経費)
           =95億円-77億円
           =18億円

税額は、正確には累進課税で計算すべきですが、ざっくり18億円×45%=8億円に加えて、罰則としての重加算税(税率は追加本税の35~40%)が上乗せされて、約10億円となっています。

 


◆さいごに

今回の件でも、公営ギャンブルがAIによって攻略できることが証明されました。公営ギャンブルは、もはや、KKD(勘・経験・度胸)で勝負する時代ではないように思います。

先日、史上最年少で棋聖となった藤井聡太七段(17)がニュース番組のインタビューで、AIを使って将棋の研究をする機会が増えている的なコメントをされていましたが、藤井棋聖ほどの天才がそうなら、まして凡人はAIと賢くつき合っていかないと、養分にされるのは不可避です。


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