【ベストセラー】『競艇と暴力団「八百長レーサー」の告白』

ざっくり言うと

  • 3年半で5億円を稼いだとされる過去最悪レベルの競艇八百長事件
  • 懲役3年、追徴金3,725万円の実刑となった元ボートレーサー西川被告
  • 西川被告が競艇八百長のすべてを語る暴露本

2020年11月2日、宝島社から出版された『競艇と暴力団「八百長レーサー」の告白』が売れ行き好調で、Amazonではやっと再入荷し、楽天ブックスではまだ売り切れとなっています。

本書は、ボートレースの八百長で懲役3年、追徴金3,725万円の実刑を受けた西川昌希被告による暴露本です。


『収監競艇と暴力団「八百長レーサー」の告白』,西川 昌希(著),宝島社

<Amazonの紹介文>
公営競技・ボートレース史上最大の八百長スキャンダルはなぜ起きたのか。名古屋地検特捜部に逮捕された選手本人が、赤裸々にその不正の全貌を明かす懺悔の書。暴力団組長の子として育てられた数奇な生い立ちと、天才的な選手としての資質、そして驚くべき巧妙な不正の手口、消えた5億円の行方、そして不祥事をもみ消そうとしたボート界の隠蔽体質。業界騒然の話題作。

 

◆読書感想

<ボートに八百長は存在する>

八百長をやっていた本人が語っている以上、これは揺るぎようのない事実であり、本書では競艇界にうごめく八百長の実態、具体的なその手口までが細かく綴られています。

『「今もボート界に八百長は存在する」と言う事実だ。なぜそれを断言できるかと言えば、俺の不正には共犯選手がいたからだ。そして、それ以外にも多数の選手の不正事実を俺は知っている。誰が、いつ、どのレースで八百長したか、具体的に証言することもできる。』(8ページ)

 

<明かされる八百長の手口>

本書では、具体的なレース名を挙げて八百長の手口が語られています。多くのレース映像がYoutubeに残っているので、本人による八百長の解説でレース映像を見ると、西川被告の天才的な八百長テクニックに驚かされます。

『有利とされるインコースからわざと負けるといった、誰にでもできるような単純な仕掛けは、俺のプライドが許さなかった。レースのメンバーと実力、エンジン機力、レース場の特性、当日の天候と水面のコンディション、コース取り、人間関係を見極めたうえで、「ある選手を勝たせながら、別のある選手を妨害し、そして自分が3着に入る」といった困難なミッションを驚異的な確率で成功させた。』(4ページ)

『検察が調べたところでは、俺が2019年以降引退するまでに成功させた八百長レースは、全部で20レース。実はこのほかにも成功・失敗したケースがあるのだが、2019年以降はLINEのやりとりが証拠として残っているため、ほぼすべての不正レースが特定された。』(192ページ)

西川被告は、八百長で2016年から5億円以上を不正に稼いだとしていますが、押収されたスマホのLINEから判明した2019年1~9月のわずか9ヵ月間の実績は、払戻し総額1億8,670万7,000円で、そこから賭け金を引いた純利益は1億1,142万4,000円だったとのこと。

 

<日本モーターボート競走会は事実無根と反論>

本書で八百長とともに語られるのが日本モーターボート競走会の闇。
日本モーターボート競走会は、西川被告の八百長について「判決を大変重く受け止め、選手への指導強化など再発防止に全力で取り組む」と説明する一方で、告白本については、「全選手に聴取し、他に八百長はないと判断している。本には事実無根の内容が多々あり、法的措置を検討している」としています。

『検察や競走会は、今回の事件を「前代未聞の犯行」という。そんなことはない。表沙汰になったのは初めてかもしれないが、決定的な証拠がなかったというだけで、水面下では常に不正はあったし、いまもある。検察はともかく、競走会はそのことをよく知っているはずだ。』(9ページ)

『競走会が、いまのような隠蔽体質を改めない限り、今後とも不正がなくなることはないだろう。法的措置を取られてもいまさら俺は困らないが、もし証言の信用性をめぐって全面的に争うのであれば、俺は自分の知る他の選手の不正を語ることになるだろう。もちろん競走会が「業界の未来のためにすべてを公の場で話せ」というのであれば、いつでも俺は事実を話す。だが今の競走会にそこまでの覚悟があるとは思えない。』(10ページ)

 

<1番の被害者はファン>

西川被告は八百長について反省する一方で、自身のテクニックや儲けの大きさを自慢気に書いている部分が多々あり、ギャンブルファンとして、本書ほどイライラしながら読んだ本はありません。西川被告を信じて大損したファンが不憫でなりません

『競艇ファンには、裏切りについてお詫びしなければならない。多くのファンが、俺のイン逃げを楽しみにして、1の頭から大きく舟券を買っていたはずだ。俺はときにブッ飛び、ときに2着、3着に落ちて高配当誘発したが、俺を信じていたファンほど、大きな損害をこうむったことは間違いない。命の次に大事な現金を張っていたファンに対しては、この場を借りて謝罪したい。深くお詫びします。』(247ページ)

 

◆さいごに

競馬や競輪と違って、競艇では簡単に八百長ができてしまい、そして今も八百長があることを明かした本書を読んで、単純に強い弱いだけで舟券を買うのが怖くなりました。これを機に、不正が完全になくなることを心から願っています。

 

過去記事:競艇史上、最悪レベルの八百長疑惑(1月11日)
過去記事:【続報】競艇史上、最悪レベルの八百長(9月2日更新)
過去記事:【続々報】競艇八百長、元レーサーに懲役3年の実刑判決(10月21日)