笠松競馬には、取り潰しも視野に入れた厳正な処罰を

ざっくり言うと

  • 笠松競馬の騎手や調教師ら約20人が総額3億円を超える所得隠し
  • 騎手や調教師の馬券購入は、競馬法で固く禁止されている
  • 元騎手3人と元調教師1人を競馬法違反(馬券購入)容疑などで書類送検

2021年1月19日、共同通信の報道によると、笠松競馬に所属する騎手や調教師ら約20人が、競馬の払戻金など総額3億円を超える所得隠しを指摘されたとのこと。そもそも、騎手や調教師の馬券購入は、競馬法で固く禁止されています。

『笠松競馬(岐阜県笠松町)に所属する騎手や調教師、その知人ら約20人が名古屋国税局の税務調査を受け、2019年までに計3億円超の申告漏れを指摘されていたことが18日、関係者への取材で分かった。うち約2億円は、騎手や調教師が他人名義で購入し、的中させた馬券の配当金から外れ馬券などの経費を差し引いた利益で、自身の所得として申告しておらず、所得隠しと認定されたもようだ。いずれも既に修正申告したとみられる。』(共同通信より)

笠松競馬関係者、申告漏れ 騎手ら約20人、計3億円超


具体的には、笠松競馬の騎手や調教師ら約20人が内部情報をもとに馬券を購入して利益を隠したり、競走馬の売却益を除外したりしていたとのこと。

『「約7年前から、計10人ほどの騎手や調教師と一緒に馬券を購入していた」。名古屋国税局の税務調査を受けた笠松競馬の元調教師の男性(36)は、朝日新聞の取材に証言した。公正であるべきレースの裏側で不正が常態化する一方、自浄作用は働かなかった。元調教師は「騎手としてデビューした頃から、みんなで馬券を購入するというのは空気で感じていた」と振り返る。レース直前に場内や厩舎で交わされる馬の体調などの情報に基づき、他の騎手らとも相談して馬券を買った。』(朝日新聞より)

複数の笠松競馬関係者によると、「人気馬だが今回は脚が痛い」「出走予定だが鼻血がでている」といった情報を騎手や調教師のグループで共有。他人名義の銀行口座で馬券購入を繰り返していたという。』(朝日新聞より)

騎手の馬券購入「いわゆるインサイダー」「管理がザル」
騎手ら3億円所得隠しか 脚痛い、鼻血…馬の情報を悪用


<1月21日追記>
『捜査を受けて引退した元調教師(36)は朝日新聞の取材に対し、「捜査を受けた4人以外にも一緒に馬券を買った関係者がいる」と、組合職員に4~5人の実名を告げたと証言した。また、馬主の一人は昨夏、組合職員に電話し、4人以外で馬券を買ったとされる人たち3~4人ほどの名前を挙げたという。組合側からは「警察じゃないので」と言われたと話す。』(朝日新聞より)

騎手らの馬券購入、実名告発を軽視「警察じゃないので」


<3月10日追記>
岐阜県警は、笠松競馬に所属していた元騎手の男3人と元調教師の男1人を競馬法違反(馬券購入)容疑などで書類送検しました。4人はいずれも容疑を認めており、元調教師や元騎手は「小遣い稼ぎをしたかった」と話しているとのこと。

「生活環境課によると、元騎手と元調教師の計4人は共謀し、昨年6月18日、笠松競馬のレースで、インターネットの馬券購入サイトを使い、計約43万円分の馬券を購入するなどした疑いがある。元騎手のうち1人と知人の会社員(39)=岐阜市=は、会社員名義の預金通帳を元騎手が譲り受けたとして、犯罪収益移転防止法違反の疑いでも書類送検された。 同課によると、元騎手3人は「体調不良で勝負にならない」といった競走馬の内部情報をもとに買い目を決め、レース当日にチラシの裏に書いて元調教師に手渡し。元調教師がスマートフォンで3人が騎乗するレースの馬券を購入したという。不正は少なくとも2019年9月以降の計191レースに及び、計約2千万円の収益を得たという。」(朝日新聞より)

笠松競馬の元騎手ら5人、馬券購入容疑 「小遣い稼ぎ」


<3月29日追記>

3月29日、岐阜区検は、笠松競馬の元騎手や元調教師の男4人を競馬法違反の罪で岐阜簡易裁判所に略式起訴しました。略式起訴では、犯罪の事実に争いがなく、被疑者が罰金・科料の刑を受け入れる意思を示していることが条件となるため、4人は略式起訴を受け入れた段階で有罪が確定します。


<4月1日追記>

笠松競馬の不正に関する第三者委員会の調査報告書によると、不正購入に関与していたのは、昨年夏に引退した4名を含めて10名。うち6名は、現在も笠松競馬場に在籍する現役の騎手と調教師。2012年から2020年6月まで、騎手に騎乗する馬の調子を尋ね集めた情報から着順を予想。不正が認定された2013~2016年だけで利益は約1億4,000万円にのぼり、馬券の的中率は3割程度だったとのこと。さらに、調査報告書には、悪質なセクハラも報告されており、笠松競馬の不祥事は、とどまる所を知りません。


<4月9日追記>

岐阜県地方競馬組合は、不正に大きく関与した騎手と調教師の8人に対して、一定期間、競馬に関係する活動を禁ずる「関与禁止」の処分を、それ以外の関与した調教師に管理馬が出走するたびに支払われる手当などを停止する「賞典停止」や「戒告」などの処分とする方針を固めたとのこと。


<4月20日追記>

略式起訴された4人に対し、岐阜簡裁が4月12日付で元調教師に罰金30万円、元騎手の3人にそれぞれ罰金40万円の略式命令を出したとのこと。岐阜県地方競馬組合は、この4人を競馬場に入ることなどを無期限で禁止する「関与禁止」処分とし、4人とは別に、馬券購入に関わった現役の調教師ら8人を「関与停止」処分とすることを決めたとのこと。新たに免許取消となった8人は、関与の程度に応じて6カ月~5年の関与停止処分となった。  


<4月21日追記>
元調教師や元騎手が競馬法に違反して馬券を購入していた事件で、監督責任を取り岐阜県の古田知事と県地方競馬組合の管理者を務める笠松町の古田聖人町長は、監督責任を取るとして給与の10分の1を3カ月間減給するとのこと。また、新たな組合の管理者に河合孝憲副知事が就任し、県主導で管理体制を強化することで信頼回復を目指す方針とのこと。


<6月23日追記>

「競馬関与停止」処分を受けた元騎手の2人は、県地方競馬組合と地方競馬全国協会を相手に処分の取り消しを求め岐阜地裁に提訴しました。


<7月9日追記>
笠松競馬を運営する県地方競馬組合は、騎手と調教師、厩務員計81人について、昨年までの5年間で業務に関わる所得計約1億1,406万円の申告漏れがあったと発表しました。追徴税額は約946万円で、修正申告などは済ませたとのこと。

修正申告額の最高は約1,800万円で、100万円以上の追徴税額があった6人に訓告処分、100万円未満の73人に文書注意、還付を受けた5人に口頭注意の処分がくだっています。


<8月23日追記>
笠松競馬を運営する県地方競馬組合は、9月8日からレースを再開すると発表しました。
組合は、第三者委員会による調査、不適切な行為等のあった関係者の処分、公正確保の強化対策などを実施し、ハード面、ソフト面とも公正確保対策を講じた競馬を実施できる体制が整ったと再開の理由を説明しています。また、「不適切事案があったことを深く反省し二度と問題を起こさないことを心に誓い、信頼回復に一丸となって取り組む」とコメント。笠松競馬の開催は約8ヵ月ぶり。


<8月28日追記>
岐阜地検は、笠松競馬の馬券不正購入問題に絡み、競馬法違反の疑いで書類送検された元騎手2人を不起訴処分としました。不起訴処分の理由は「犯罪を証明できるに足る十分な証拠が得られなかったため」。


<9月30日追記>
岐阜県地方競馬組合は、新型コロナウイルスの緊急事態宣言が30日で解除されることに伴い、笠松競馬場で10月5~8日に行う第3回開催は観客を入れて実施すると発表しました。


◆八百長も噂されていた笠松競馬

笠松競馬を巡っては、2020年6月、騎手や調教師が競馬法に違反し馬券を買った疑いがあるとして、関係者4人の自宅などを家宅捜索し、2020年8月、その4人が突然の引退を発表し物議をかもしました。

過去記事:【闇深】捜査中の笠松競馬の騎手ら4人、突然の引退


<3月4日追記>
岐阜県警は、競馬法違反容疑で3人を、同法違反容疑と犯罪収益移転防止法違反容疑で1人を、犯罪収益移転防止法違反容疑で1人を書類送検する方針を固めたとのこと。5人のうち4人は昨年6月、インターネットの馬券購入サイトで笠松競馬の馬券を購入した疑い。4人のうち1人は馬券購入のための口座を譲り受けた疑い。別の1人は、この口座を譲った疑いが持たれている。

岐阜県地方競馬組合は、騎手や調教師ら関係者117人全員(調教師20人、騎手14人、厩務員83人)を対象に馬券購入に関する聞き取り調査を行い「違法な馬券購入の事実は確認されなかった」と発表していました。


◆笠松競馬は、当面のレース開催を中止に

笠松競馬は、1月19日から4月末まで休止となっています。
当然のことながら、1月19日の協賛レース『ウマ娘シンデレラグレイ1巻発売』は中止。『ウマ娘 シンデレラグレイ』は、オグリキャップやサイレンススズカなど実在した競走馬を美少女に擬人化した「週刊ヤングジャンプ」の人気漫画。また、4月29日に予定されていた『オグリキャップ記念』も中止となっています。

 

◆さいごに

昨年、岐阜県地方競馬組合が行った聞き取り調査は何だったのか?
あまりにもお粗末過ぎなのでは。

岐阜県地方競馬組合は、騎手や調教師ら関係者117人全員(調教師20人、騎手14人、厩務員83人)を対象に馬券購入に関する聞き取り調査を行い「違法な馬券購入の事実は確認されなかった」と発表しています。

昨日、NHKのドキュメンタリー番組『逆転人生』で「じり貧競馬場 執念の復活劇」として、高知競馬の努力とサクセスストーリーが紹介され、その中では地方競馬の星オグリキャップを生んだ笠松競馬も大きく取り上げられていました。そして、感動した矢先のこの不祥事です。

競馬ファンの夢をぶち壊した騎手と調教師、そして笠松競馬には、取り潰しも視野に入れた厳正な処罰を望みます。

あまりファンをなめないでいただきたい。

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