JRA関係者による持続化給付金の不正受給が相次ぐ

ざっくり言うと

  • 100人以上の調教助手や厩務員に持続化給付金を不正受給した疑い
  • 持続化給付金の受給要件は、コロナで収入が50%以上減少した月があること
  • JRAの実施レース回数は過去最多、売上も前年比103.5%と好調

(2021年4月10日追記)
毎日新聞の報道によると、調教助手や厩務員が持続化給付金を不適切に受給した問題で、JRAは受給者ら170人を戒告処分や厳重注意にしたと発表しました。

「10日に記者会見したJRAによると、当初の調査に対して虚偽回答をした調教助手3人を戒告、調教師や騎手ら計167人を厳重注意とした。受給者以外にも厩舎従業員への注意喚起が不十分だったと判断した調教師を厳重注意とした。日本調教師会は出勤停止の3人のほか、調教助手ら154人を戒告処分や厳重注意などとした。一方、今回の問題で100人以上の受給申請を指南した馬主でもある大阪市の税理士に対し、JRAは「馬主登録の取り消しや戒告などには該当せず、現行の競馬関連法規で対処するのが難しい」として、処分はしなかった。」(毎日新聞より)


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2021年2月17日、共同通信の報道によると、JRAトレーニングセンターで働く100人以上の調教助手や厩務員が新型コロナウイルスの持続化給付金を不正受給した疑いがあるとのこと。

「担当馬がレースで獲得した賞金に応じて得られる報酬がコロナの影響で減少したとして申請していたが、日本調教師会は「中央競馬の中止はなく影響はほぼなかった」と返還を求めている。JRAによると昨年の実施レース回数は過去最多だった。大阪市の男性税理士が指南していた。「受給者は100人以上」と証言する調教助手もおり、総額1億円以上になる可能性もある。」(共同通信より)

「申請を指南した大阪市の男性税理士が「厩舎関係者は満額が給付される可能性が高い」と記した案内文を送り、調教助手らを勧誘していたことが17日、トレセン関係者への取材で分かった。男性税理士は資料作成だけでなく、給付要件を満たしているかを調査するサポート契約も結んでいた。案内文は、収入の増減を調査する前から「満額」(100万円)を誘い文句にしており、給付要件の調査が十分だったのか、その在り方が問われそうだ。」(共同通信より)


また、スポーツ報知が日本調教師会会長 橋田満調教師のコメントを報じています。

「昨年より、持続化給付金の不適格な申請をしないよう、通告してまいりました。受給要件の前年度からの減収がコロナの影響を受けてのものなのか否かは、適切な判断をしなければならないことだと考えます。競馬開催が継続して実施できたこともあり、事業主である調教師に対しては、コロナの影響を最小限にとどめられているとの考えとともに、的確な判断をするように伝えてきました。今回の報道を受け、至急、事態の究明に努め、厳正な対応を行ってまいりたいと思います。」(スポーツ報知より)


指南役とされる大阪の税理士法人。競馬ファンなら誰のことだかすぐにわかりますね。

JRA厩務員らの給付金不正疑惑 指南役は30頭の競走馬を所有する謎の税理士事務所

「そのトップは、JRAでは名前がよく知られる馬主さんでもあります。所有馬がG1、クラシックレースを勝利したこともある。そのトップの先生の事務所が申請してくれるのなら、心配ないと思いました。他の調教助手や厩務員も、先生の事務所だから問題ないと思ったと言っています」(週刊朝日より)

<2月25日追記>
共同通信の報道によると、日本調教師会が調教助手ら約2500人に行った調査で、100人前後が給付金を受け取っており、受給総額は約1億円に上ることが明らかになっています。また、大部分の受給者が既に返還したり、返還を希望したりしているとのことです。

<2月27日追記>
スポーツ報知の報道によると、日本調教師会が調教助手、厩務員ら約2,500人を対象に調査を行ったところ、美浦トレセンで約20人、栗東トレセンで約110人の計130人以上の受給が確認され、加えて、受給者に調教師が名を連ねていたことも判明。今後、JRAが騎手、調教師への調査に乗り出すとのことで、不正受給問題は拡大の一途をたどっています。

<2月28日追記>
これまで名前を伏せて報道されてきた本件。
税理士の実名をさらしているに等しいデイリー新潮のこちらの記事、心配になるレベル。
JRA厩務員らの給付金不正受給疑惑 勧誘ビラをまいて儲けた税理士の「正体」

<3月7日追記>
JRAは、持続化給付金を不正受給に関する調査結果を発表しました。この調査は、東西の厩舎関係者である2748人に行い、そのうち165人(調教師19人、騎手13人、調教助手112人、厩務員21人)が約1億8,900万円を受給し、既に49人が計5,163万円を返還し、114人が返還手続き中。指南役とされた大阪の税理士は104件に関与していたとのこと。
JRAの吉田正義常務理事は、「持続化給付金制度の趣旨、目的を十分に理解していなかったり、税理士等の勧誘があったり、社会的問題となるリスクへの認識の甘さがあった。」との見解を示す一方で、不正受給者の実名公表は現段階では考えていないとしています。

このJRAの発表を受けて、日本騎手クラブの武豊会長は、下記のコメントを出しています。
「このたび持続化給付金制度の趣旨・目的等を十分理解せず、一部の騎手が申請、受給を行ったことについて日本騎手クラブを代表して心よりおわび申し上げます。当該者全員はすでに給付金の返還を済ませる、または返還手続きを進めておりますが、今後このようなことはないよう改めて騎手全員に厳重に注意してまいる所存です。」(中日スポーツより)

<3月12日追記>
JRAは、新たに調教助手1人が100万円を不適切に受給していたと発表しました。

「新たに調教助手1人が100万円を不適切に受給していたと発表した。これで不適切な受給者は165人となった。調教助手は2月の調査に対し、「申請・受給はしていない」と虚偽の回答をしていた。これを受け、JRAは厩舎関係者全2748人に対し、再調査を始めた。」(毎日新聞より)

 

◆JRAの売上は前年比103.5%で好調

持続化給付金は、2020年1月以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により、前年同月比で事業収入が50%以上減少した月があることが受給要件となっています。

2020年のJRAは、コロナ禍で無観客レース、入場制限レースが相次いだことで、総入場者数こそ99万970人(前年比84.1%減)激減しましたが、売上は2兆9,834億5,587万2,000円で前年比103.5%と好調で、収入としては新型コロナウイルスの影響はほぼありませんでした。

無観客ながらレースは正常に開催されていた訳で、調教助手や厩務員の収入が減った月があったとしても、それが新型コロナウイルスの影響だと考えるのは無理があります。


関連記事:コロナ禍に打ち勝ったJRA、 2020年度売上は前年比103.5%

 

◆さいごに

調教師や厩務員の努力によってコロナ禍でも無観客ながらレースが開催されたことに、競馬ファンは感謝の気持ちしかありません。

一方で、多くの競馬ファンが新型コロナウイルスで収入が減っている中、なんとか資金を捻出して馬券を買っていた訳で、今回の不正受給報道が真実であれば、それは決して許されるべきことではありません。

こんなことがあるとギャンブルファンの肩身が狭くなる訳で、不正受給した関係者は速やかに自主返納をお願いします。経済産業省は、自主返納すれば延滞金や加算金を求めない温情対応の方針です。

春のG1で盛り上がっていく矢先、あまり水を差さないでいただきたい。