菅官房長官の発言から、今後のパチンコ業界を見通してみる

ざっくり言うと

  • 『BSフジLIVE プライムニュース』での菅官房長官の発言が話題になっている
  • (パチンコはギャンブルであるが)あまりギャンブル性がない形にしていく
  • IR実施法・依存症対策基本法の成立を機に、ギャンブルはより健全な方へ

2018年7月6日に成立した「ギャンブル等依存症対策基本法」では、パチンコ依存症もその他の公営ギャンブルと同様に規制の対象となりました。

そのような状況のなか、7月23日の『BSフジLIVE プライムニュース』での菅官房長官の発言が話題になっています。

『今まで日本はパチンコ・競馬・競輪に対して依存症対策を全く何もしていなかった。今回を機に作らせていただいた。(ギャンブル等依存症対策基本法では)競馬・競輪は同居する家族が反対すればネットで買えなくなる。パチンコですけど、今、全部で23兆円ですよ。どこに行ってもあるじゃないですか。これに対しての対応策も今後とっていきます。あまりギャンブル性がない形にするとか。』(菅官房長官)

長年にわたって繰り広げられてきた、パチンコはギャンブルなのか論争は、平成28年11月の民進党の緒方議員からの質問によって、一旦は終止符が打たれたかに思われました。
しかしながら、平成30年2月の真山議員からの質問で、再度、迷走モードに突入します。


ふたつの答弁を意訳すると、ざっくりとはこんな感じです。
※末尾に質問主意書と答弁書を掲載していますので、正確な情報は原文にてご確認ください。

<緒方議員の質問に対する政府の答弁>

緒方議員:「パチンコをしたお客さんが、換金所で現金と交換していることを政府は把握しているの?」

政府:「把握しています。」

緒方議員:「それって刑法で禁止している賭博じゃないの?」

政府:「パチンコ店は、風営法を守っている限りは賭博ではないです。」

今まで政府やパチンコ関係者は、パチンコは遊技であって賭博ではないと、何十年にもわたって言い続けてきた訳ですが、ここでついに政府から「パチンコは賭博ではない」のお墨付きを得ました。これまで曖昧な回答を続けてきた政府ですが、パチンコは違法ではないと言い切ったのは、おそらくこれがはじめてだと思います。


<真山議員の質問に対する政府の答弁>

真山議員:「政府の認識では、パチンコはギャンブルですか?」

政府:「パチンコは射幸行為なのでギャンブルです。」

真山議員:「ではパチンコは賭博ですか?賭博ではないならその理由を教えて。」

政府:「パチンコの実態はよくわからないけど、風営法の範囲で行われているのであれば、賭博ではないです。」

あれ?以前の答弁で、換金の実態は把握してるって言ってませんでしたっけ。。。
また、ギャンブルだけど賭博ではないという答弁、うーんよくわからないです。子どもに聞いても「ギャンブル=賭博」だと思うんですけど。

まあ、屁理屈にしか聞こえない答弁ですが、いずれにしても、パチンコが風営法の範囲で行われているのであれば賭博ではないという政府の認識に変わりはないようです。


そんな中での、今回の菅官房長官の発言です。

・パチンコはギャンブルである。
・どこにでもある(店舗数、立地条件など)の対応策もとっていく。
・あまりギャンブル性がない形にする。

パチンコも含めた「ギャンブル等依存症対策基本法」の成立と菅官房長官の発言を受けて、ついに、長年にわるパチンコの闇に大きなメスが入りそうな勢いです。

今回成立した「IR実施法」により、カジノは通常の法人税とは別に30%のカジノ税が課され、6,000円の入場料や回数制限が設けられました。一方で、パチンコは入場制限もなく、法人税しか課されていない現状には、納得できない人も少なくはないと思います。

今回の「IR実施法」、「ギャンブル等依存症対策基本法」の成立を機に、日本のギャンブルマーケットがより健全な方に向かうことを期待しています。


<以下、参考資料>

平成28年11月18日
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する質問主意書
質問者:衆議院議員 緒方 林太郎 (民進党)

六:ぱちんこ屋で景品を得た後、その景品を金銭に交換している現実を政府として把握しているか。

七:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に規定されるぱちんこ屋は、刑法第二編第二十三章における罪の違法性を阻却する必要はないのか。

<政府答弁>
六について
客がぱちんこ屋の営業者からその営業に関し賞品の提供を受けた後、ぱちんこ屋の営業者以外の第三者に当該賞品を売却することもあると承知している。

七について
ぱちんこ屋については、客の射幸心をそそるおそれがあることから、風営法に基づき必要な規制が行われているところであり、当該規制の範囲内で行われる営業については、刑法第百八十五条に規定する罪(賭博罪)に該当しないと考えている。


平成30年2月20日
賭博及びギャンブル等の定義及び認識に関する質問主意書
質問者:参議院議員 真山 勇一

一:刑法上の賭博及び政府において検討中のギャンブル等依存症対策の対象となる「ギャンブル等」の定義をそれぞれ説明されたい。

二:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「風営法」という。)の規制の対象となるぱちんこ等の営業では、景品として一定の財物を提供することが一般的である。このような営業には、刑法上の賭博にあたる要素はないか。

三:風営法上の特定の「遊技」で景品として提供された財物を、その後、当該「遊技」の営業所から至近距離にある景品交換所において現金に換える方式(いわゆる「三店方式」)が事実上、確立している場合は、当該「遊技」は結果的に現金を賭けて行う賭博と何ら変わりないという指摘がある。政府はこの「三店方式」が確立したぱちんこを刑法上の賭博にあたると認識するか。賭博にはあたらないと認識するのであれば、その理由は何か。

四:平成二十九年三月三十一日のギャンブル等依存症対策推進関係閣僚会議において、国家公安委員会委員長が「警察としては(略)ぱちんこへの依存防止対策を更に進める必要があると認識」と発言した旨、議事要旨に記載がある。政府の認識においてはぱちんこもギャンブルのひとつか。ギャンブルのひとつではないと認識するのであれば、他のギャンブルとともに依存症防止対策を進める必要があるとされるぱちんこがギャンブルのひとつではないと認識する理由を説明されたい。

<政府答弁>
一及び四について
刑法第百八十五条の「賭博」とは、偶然の勝負に関し財物の得喪を争うことをいうと解されている。また、政府において推進しているギャンブル等依存症対策の対象となる「ギャンブル等」とは、広く公営競技、ぱちんこ等の射幸行為であって、これにのめり込んでしまい、生活に支障が生じ、治療を必要とする状態の者を生じさせているものをいう。

二及び三について
お尋ねの「この「三店方式」が確立したぱちんこ」の意味するところが必ずしも明らかではないが、ぱちんこ屋については、客の射幸心をそそるおそれがあることから、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に基づき必要な規制が行われているところであり、当該規制の範囲内で行われる営業については、刑法第百八十五条に規定する罪に該当しないと考えている。