大盛況のコミケから、IRの必要性を考える

ざっくり言うと

  • 「コミックマーケット94」は、大盛況の裏で、会場に伴う諸問題が多数報告されてる。
  • 「マリーナ・ベイ・サンズ」の国際会議の収容人数は8,000人で、東京ビッグサイトの8倍。
  • アジア太平洋地域の国際会議開催件数に占める日本の比率は、1991年時点の5割から2割まで縮小。

2018年8月10~12日に東京ビッグサイトで開催された「コミックマーケット94」は、来場者数のべ53万人、出店サークル数34,802店と、今回も大盛況のうちに終了しました。

一方で大盛況の裏に、コミケ雲こそ発生しなかったようですが、長蛇の待機列、会場内の悪臭、数百人の要救護者、数万組のサークル落選と、会場に伴う諸問題も多数報告されていました。

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40年に及ぶコミケの歴史を振り返ると、人気の高まりに伴い右肩上がりで来場者数、参加サークル数を伸ばしてきましたが、ここ15年は来場者55万人、参加サークル数35,000組で高止まりしています。

(出典)コミックマーケット年表:参加者数の推移


来場者数、参加サークル数の高止まりの最大の要因は、会場・交通などの施設のキャパシティーによるものだと思われますが、集客力の高いコンテンツがありながら、参加したい人が参加できていない現状は、とても残念でなりません。


充実した設備の巨大な施設があれば、大きなイベントを開催したり、大規模な国際会議の招致も可能になりますが、こうした施設は採算の面で運営が難しく、貴重な税金が投入されることも少なくありません。この問題を、世界の国々はカジノを含むIR(統合型リゾート)を誘致することで解決しています。

例えば、シンガポールを代表するIR「マリーナ・ベイ・サンズ」の国際会議の収容人数は8,000人で、コミケの会場となった「東京国際展示場(東京ビッグサイト)」(収容人数1,000人)の8倍。より大きな「パシフィコ横浜」(5,000人)と比べても更に1.5倍と、その規模に圧倒されます。

※「パシフィコ横浜」は、2020年春に隣接する「横浜みなとみらい国際コンベンションセンター(通称:パシフィコ横浜ノース)」(5,000人)を開業する予定となっていますが、それでようやく「マリーナ・ベイ・サンズ」と同等の規模になります。


こちらの表は、世界の主要なIR(MICE施設)の一覧です。

(出典)海外のIRにおけるMICE施設の規模
(詳細資料)特定複合観光施設区域整備推進会議(第1回)
「諸外国におけるIRについて」

※MICE(マイス)とは、Meeting(企業ミーティング)、Incentive Travel(報奨・研修旅行)、Convention(国際会議)、 Exhibition/Event(展示会/イベント)といったビジネスイベントの総称です。

これらのMICE施設は、カジノからの収益によって、不採算部門を含むIRという大規模施設の運営を可能にしています。

7月20日の参議院本会議で可決・成立した「特定複合観光施設区域整備法案」ですが、世間では「カジノ法案」と揶揄されていますが、これから日本に誕生するのは、単なるカジノではなく、コミケのような大規模イベントや国際会議の開催を可能にするIR(統合型リゾート)施設です。


近隣国は積極的にIRを実現させ、多くの国際会議を招致しています。
国際会議協会(ICCA)によれば、アジア太平洋地域の主要国での国際会議開催件数に占める日本の比率は、1991年時点の約5割から現在は2割程度に縮小し、MICE市場における日本の国際競争力は相対的に低下しています。

(出典)日本政府観光局(JNTO) 2016年国際会議統計
国別 国際会議の開催件数


ハイパーメディアクリエイターの高城 剛氏は、著書『カジノとIR。日本の未来を決めるのはどっちだっ!?』の中で、IRの神髄を述べています。

『IRの神髄は、税金を使わずに街のランドマークをつくることだ。あくまでもカジノは、巨額投資をしてもらう企業への担保にすぎない。そして、そのカジノの顧客は、成熟した都市であるならば、自国民であってはならない。これがすべてである。』

現状では、日本のIRは、残念ながらカジノの是非論に終始していますが、グローバル市場における日本の立場とIR本来の目的をふまえた、正しい議論に期待したいところです。