
ブラックジャックの1.2倍配当でカジノが訴えられる(ボストン)
ざっくり言うと
- アンコール・ボストン・ハーバーがブラックジャックの配当をめぐって訴えられる
- シングル・デックのルールをシューゲームにも適用したことが問題
- プレイヤーが50ドルを賭けて1時間プレイした場合、35.60ドル多く負ける
6月24日にオープンしたばかりのウィン・リゾーツが運営するカジノ「アンコール・ボストン・ハーバー(Encore Boston Harbor)」で、ブラックジャックの配当をめぐってカジノが訴えられるという興味深い事案が発生しています。
一般的にブラックジャックのゲームでは、ブラックジャック(Aと絵札・10の組み合わせの21)で賭け金に対して1.5倍(3 to 2)の配当がなされてきました。
しかしながら、ブラックジャックのゲームは、ハウスエッジ(胴元の取り分)が約1%と、極めてカジノ側が儲かりにくいことから、最近ではBJ成立時の配当を1.2倍(6 to 5)にするカジノが徐々に増えている状況です。
◆ブラックジャック成立時の1.2倍配当は違法?
今回、訴訟を提起したA. Richard Schuster(以下、シュスター氏)は、BJ成立時の配当が1.2倍と低く設定されているため、プレイヤーの利益が不当に奪われていると主張しています。
シュスター氏の主張は、マサチューセッツ州のゲーム規則は、特定の条件を満たすことでBJ成立時の1.2倍配当を認めている。具体的には、ゲームに使用するカードを1~2デック(組)、俗に言うハンドヘルド(もしくはシングル・デック、ダブル・デックス)に限ったルールとなっている。しかしながら、アンコール・ボストン・ハーバーは、8デックス(組)のカードを使用した、俗にいうシューゲームのブラックジャックでも、BJ成立時の1.2倍配当を行っており、これが州のゲーム規則に違反していると指摘しています。
ちなみに、プレイヤーがベーシック・ストラテジーを使用してブラックジャックをプレイした場合、使用するカードのデック数によって、ハウスエッジ(胴元の取り分)は以下の増減があります。
1デック ー0.02%
2デックス +0.31%
4デックス +0.48%
6デックス +0.54%
つまり、使用するカードのデック数が少ないほどカジノが不利になるため、1デック・2デックスに限ってBJ成立時の1.2倍配当を認めているという話です。
また、シュスター氏は、BJ成立時の1.2倍配当によって、プレイヤーが50ドルを賭けて1時間プレイした場合、BJ成立時の1.5倍配当と比較すると35.60ドル多く負けることになると主張しています。
◆カジノ側の主張は?
アンコール・ボストン・ハーバー側は、マサチューセッツ州のゲーミング委員会の規則に従った適切な運営であると、シュスター氏の主張に真っ向から反論しています。
◆さいごに
万一、本訴訟でシュスター氏が勝つようなことになれば、カジノにとってうまみの少ないブラックジャックは、どんどん減っていくことになるんでしょうね。ブラックジャック好きには残念な話ではありますが。