従業員のチップをカジノがピンハネ?(ラスベガス)

ざっくり言うと

  • チップの分配をめぐって、元従業員がカジノを訴える
  • チップを受け取る権利のないマネージャーなどにチップが分配されていた
  • 不当に支払われたとされるチップ額は、2018年3月から12月の653,356ドル

2020年3月4日、ARIA Resort & Casino(以下、アリア)のスロットサービスの元担当者リサ・ダニエルズさんは、本来、チップを受け取る権利のないマネージャーやスーパーバイザーにもチップが分配されていたとして、アリアの運営者であるMGMに対して公正労働基準法違反での集団訴訟を起こしたとのことです。

 

◆カジノ従業員にとって、チップは生活の糧

ラスベガスがあるネバダ州の最低賃金は、ここにきて12ドルまでの増額が検討されていますが、依然、8.25ドル/時(時給約900円)と低いままです。末端のカジノ従業員の給与は、この最低賃金とお客からのチップで成り立っています。

また、お客から貰ったチップは、受け取った人が貰えるのではなく、一旦、すべてのチップを集め、それを担当従業員で均等に配分する仕組みが一般的です。ラスベガスでの末端のカジノ従業員の給与は、基本給200万円+チップ収入300万円の約500万円程度だと言われています。もちろんチップ収入も課税対象となっています。カジノ従業員の給与は、チップが大きな比率を占めているため、これをカジノにピンハネされてしまうと、従業員は大きな打撃を受けることになります。

 

◆発端は2006年のウィン・リゾーツの訴訟まで遡る

2006年、ウィン・リゾーツの数百人のディーラーが同社のチップ・プーリングシステムを違法として、約5,000万ドルの未払いチップの支払いを同社を求めました。この訴訟は、2018年12月に最終的に連邦裁判所によって棄却されましたが、それが2018年の公正労働基準法の改正につながったと言われています。

2018年3月の公正労働基準法の改正では、マネージャーやスーパーバイザーは、いかなる目的でも従業員が受け取ったチップを保持することはできないと、管理者および監督者へのチップシェアを明示的に禁止しています。

今回の集団訴訟では、ダニエルズさんは、法改正後、2018年3月から12月の間に67人の従業員がチップを受け取っているが、うち22人の従業員は、本来、チップを受け取る権利のないマネージャーやスーパーバイザーが含まれていたと指摘しています。

ダニエルズさんの計算によると、ダニエルズさん自身が2018年3月から12月の間に29,698ドルのチップを受け取っており、22人のマネージャー達が同額を受け取っていたとしたら653,356ドルが不当に支払われていたことになります。この金額は、本来チップを受け取るべき45人で分配されるべきもので、これを再配分すると、ひとりあたり14,519ドルを受け取る権利があると主張しています。

 

◆さいごに

本件、あまり語られることのないカジノのチップ事情が明かされています。アリアの元スロットスタッフのダニエルズさんの話によると、2018年3月から12月の間に受け取ったチップは29,698ドル(約315万円)。1年間に換算すると約400万円とかなりの額のチップを貰っていることが分かります。アリアは、5つ星を獲得している高級ホテルのひとつで、その立地の良さでCAZYも大好きなホテルです。アリアは、お金持ちも多く、賭けのレートも高いため、貰えるチップの額としてはおそらくラスベガスでもトップクラスだと思います。

また、チップは職位によって分配率が異なると思われがちですが、ダニエルズさんの話から察するに、リアルに均等に分配されてるようです。従業員の給与がここまで大きくチップに依存しているとなると、新型コロナウイルスの拡大は従業員にとっても死活問題になりますね。