ラスベガス・サンズも日本進出を断念

ざっくり言うと

  • 米ラスベガス・サンズが日本IRへの進出を断念
  • 断念の一番の理由は、契約期間の短さによる投資回収リスク
  • 世界の大手カジノ事業者の日本カジノへの関心は大きく低下

2020年5月13日、ブルームバーグの報道によると、世界最大のカジノ運営会社、米ラスベガス・サンズが日本IRへの進出を断念したとのこと。

ラスベガス・サンズ、日本でのカジノプロジェクトを断念

「世界最大のカジノ運営会社、米ラスベガス・サンズは日本での統合型リゾート施設(IR)事業ライセンス取得を断念する。世界のカジノ業界にとって日本は極めて大きな商機があると見込まれ、同社は長年この取得を目指してきた。(中略)特に大きな障害となったのは、ライセンスの有効期間が10年と短く、その期間内ですら日本の中央官庁や地方自治体が参入企業の利益を損なうような形で条件を変える可能性があることだった。ラスベガス・サンズがマカオとシンガポールに有するカジノリゾートのライセンスはそれぞれ20年、30年有効だ。(中略)リゾート建設に5年を要する可能性を考えると、その規模の投資に対する十分なリターンを確保するには10年間のライセンス期間は不十分だった。日本の地価や人件費は高く、銀行は建設費の半分超の融資に消極的だったという。」(ブルームバーグより)

ラスベガス・サンズ社は、シンガポールのマリーナベイ・サンズ、ラスベガスのベネチアンやパラッツォなどを運営しています。コロナ禍での直近の業績は、2020年1~3月期で売上高が前年同期比51%減の17億8,000万ドル(約1,905億円)、最終損益は5,100万ドル(約55億円)の赤字となっています。

また、過去に同社は、日本IRに1兆円を投資すると宣言し、創業者シェルドン・アデルソン氏は、トランプ大統領の大口献金者で、トランプ大統領が安倍首相に同社の日本進出を口利きをしたなどと報じられたこともあります。

 

◆日本カジノ大丈夫?

世界の大手カジノ事業者は、日本カジノへの進出から相次いで撤退を表明しています。
大阪のIR事業者公募に応募したのはMGMリゾーツ社の1社のみ、和歌山のIR事業者公募はジャンケット(主に富裕層の仲介事業者)と投資会社の2社のみと、世界の大手カジノ事業者からの日本カジノへの関心は、ここにきて大きく低下しているようです。

 

◆さいごに

ブルームバーグの記事では、ライセンス期間の短さによる投資回収のリスクを一番の理由に挙げていますが、断念の背景には他の理由もあったと思われます。新型コロナウイルスによって世界中のカジノのほとんどが閉鎖されたことで、カジノ事業者の財務状況は悪化し、株価も大きく低下しました。

横浜市の林市長は、定例記者会見で「新型コロナで世界的にこのような経済状況になり、投資時期を考えたのか」ととぼけたコメントを出していましたが、海外サイトの有識者コメントを読むと、ライセンス期間の短さに加えて、横浜で本当に議会の承認が得られるのか、横浜カジノに反対する有力者の存在、決まったことが二転三転する、そもそも何も決まらないなどの問題が挙げられていました。

さらには、未知のウイルスへの感染リスクの高まりによって、統合型リゾートのモデルそのものを疑問視する声も挙がっています。統合型リゾートのモデルを作ったとされるラスベガス・サンズ社の日本進出からの撤退はひとつの時代の終焉を想起させます。

日本カジノは、ひと昔前のモデルとなる統合型リゾートの一部として造られる方針ですが、ここにきて多くの人々の移動と接触を伴うMICEの必要性すら怪しくなっています。日本カジノは、大きな舵取りの変更が求められているように思います。

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