<終わりの始まり>厳しすぎる新VIP規制ルール(英国)

ざっくり言うと

  • イギリスのギャンブル委員会は、VIP顧客への新規則を発表
  • カジノは、VIPプログラム参加者の資金源、職業、身元を確認しなければならない
  • 新規則の導入段階で、VIPプログラムへの参加者がすでに70%減少

2020年9月30日、イギリスのギャンブル委員会は、カジノ事業者のVIP顧客への無責任な慣行を阻止するための新規則を発表しました。

ギャンブル委員会のマッカーサー最高経営責任者は、厳しい言葉でカジノ事業者に新規則への遵守を求めています。

「VIP顧客の管理における不正行為を根絶し、ギャンブルをより安全なものにするために新規則を導入します。VIPプログラムの管理における不正行為はあまりにも多く確認されており、新規則は、カジノがVIP顧客を適切に管理できることを示す最後のチャンスです。昨年、業界に対策を講じるよう求めてから、VIPプログラムに登録する顧客の数はすでに70%も減少していますが、カジノが新規則に従わなければ、さらなる措置を講じVIPプログラムを禁止するしかないだろう。」(マッカーサーCEO)

新規則は、10月31日から実施され、イギリスに拠点を置くすべてのカジノに適用されます。

 

◆上顧客を優遇しすぎたVIPプログラム

カジノの顧客サービスは、一般客にはコンプ(comp)と呼ばれる、フードコンプ(無料の食事)、ルームコンプ(無料の宿泊費)、リムジン送迎などですが、VIP顧客に対してはそれ以上の特典(VIPプログラム)が用意されています。

VIPプログラムには、ローリングプログラムロストプログラムの2種類があります。

ローリングプログラムは、賭けた総額(カジノが回収したノンネゴシエーションチップの総額)に対してキャッシュバックされるプログラムです。一般的にキャッシュバックは1~2%の範囲で設定されていますが、2%のキャッシュバックとなるとスゴイのレベルです。最低でもフロントマネー(事前の預け金)は500万円以上が目安となります。

ロストプログラムは、負けた金額に対してキャッシュバックされる仕組みです。一般的には10~20%の範囲で設定されています。最低でもフロントマネー(事前の預け金)は1,000万円以上が目安となり、その金額によってキャッシュバック率は変わってきます。

ハウスエッジ(胴元の取り分)が1~2%のカジノゲームにおいて、賭けた総額の1~2%、もしくは負けた金額の10~20%のキャッシュバックとなると、VIP客がいかにゲームで優遇されているのかがわかります。

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◆あまりにも厳しすぎる新規則

発表された新規則の概要は以下のとおりです。

VIPプログラムに参加を希望する顧客は、最初に安全なギャンブルチェックに合格しなければならない。

VIPプログラム参加者は、ギャンブル依存症チェックを受け、依存症でないことを証明しなければならない。

VIPプログラム参加者は、継続的な賭け行動のチェックを受けなければならない。

カジノは、VIPプログラム参加者の資金源、職業、身元を確認しなければならず、最新の証拠を保持しなければならない。

カジノは、VIP顧客の賭けが身の丈に合っており、持続可能であることを確認しなければならない。

カジノは、VIPプログラムを監督する上級管理職を任命しVIP顧客の安全性について説明責任を負う。

CASINO Lifeの報道では、カジノは、VIP顧客の損失に基づいて支払われるインセンティブ、いわゆるロストプログラムが禁止されたと伝えられています。

 


◆さいごに

イギリスでは、新規則の導入段階ですでにVIPプログラムへの参加者が70%減ったとのことですが、ここまで厳しく管理されるのであればそれも納得です。

加えて、現在、議会承認を得てオンラインカジノの導入を進めているオランダでは、カジノがライセンスを取得するにあたり、ゲームデータを含むコントロールデータベースを構築する必要があり、規制当局がそれにアクセスできるようにしなければならないという条項が盛り込まれています。

日本カジノは世界一厳しい管理体制を目指すとされていますが、そうであれば、さすがにオランダの条項まではないと思いますが、イギリスの新規則には倣うことになるはずです。


「白河の 清きに魚も住みかねて もとの濁りの 田沼恋しき」

松平定信の改革のあまりの引き締めに江戸庶民が辟易し、汚い利権がらみであっても自由で景気が良かった田沼時代を懐かしむ歌。

 

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