さらに雲行きが怪しくなった日本カジノ

ざっくり言うと

  • ラスベガス・サンズ社が米国のカジノ資産の売却を検討
  • コロナ禍によって、生みの親がMICEを自己否定
  • 日本IRはまったく先が見えない状況に

2020年10月27日、Bloombergが報じたラスベガス・サンズ社が米国のカジノ資産の売却を検討している件、業界関係者はもとより国内IR担当者にも大きな波紋を呼んでいるようです。

『世界最大のカジノ運営会社、米ラスベガス・サンズはラスベガスにあるカジノの売却を検討している。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。売却が実現すればアデルソン氏は米カジノ業界から当面は撤退することになる。協議が非公開として匿名を条件に語った関係者によると、同社はアドバイザーと協力して「ベネチアンリゾートラスベガス」、「パラッツォ」、「サンズ・エクスポ・コンベンションセンター」への関心を探っており、これらの物件の売却代金は合計で60億ドル(約6300億円)以上となる可能性がある。』(Bloombergより)

ラスベガス・サンズ、米国のカジノ資産売却を検討-関係者

本記事では、協議の対象となっているのが、事業の売却なのか、リースバック(施設の所有権だけを他者に委譲した上で自社による施設運営を維持しながらキャッシュを手にする手法)なのか不明ですが、昨年10月のMGM社がベラージオをリースバックした金額が42億5,000万ドル(約4,600億円)だったことを考えると、後者が濃厚な気がします。

MGM、カジノのベラージオをブラックストーンに売却へ-4600億円

ここからは妄想ですが、サンズ社がラスベガスの施設を手放した資金で日本のIRレースに再トライする、または、MGM社が儲からない日本IRに見切りをつけてサンズ社のラスベガスの施設を取得するなんてウルトラCもあり得なくはない話なのではと思っています。

<11月4日追記>
予想通り、MGM社が動き出したようです。

MGM Growth Properties Potentially Interested in Sands’ Strip Casinos
(MGM Growth Properties、サンズのストリップカジノに潜在的な関心を示す)

MGM Growth looking to acquire the Venetian casino in Vegas
(MGM Growth、ラスベガスのベネチアンカジノの買収を検討)

 

◆政府はIR推進の方向性を変えず

2020年10月28日、衆議院代表質問において、野党議員からコロナ禍による海外からの観光客激減を踏まえ、カジノ誘致方針の見直しの有無を問われた菅首相は、「いわゆるカジノは130カ国・地域でおこなわれており、日本型IRは国際会議場・展示場や宿泊施設を併設、家族で楽しめる施設とする予定であり、日本が観光先進国となるうえで重要な取り組みだ」とコメントしました。

 

◆MICE生みの親は自己否定

カジノ推進派は、日本を観光立国にするためにはMICE(企業等の会議:Meeting、インセンティブ旅行:Incentive travel、国際会議:Convention、展示会・イベント:Exhibition/Eventの頭文字をとったビジネスイベントの総称)が不可欠だと声高に叫んできましたが、コロナ禍によって世界的に大規模イベントの需要は減っており、MICEの必要性は急速に薄れています。

さらに、世界がコロナから立ち直るのは2023年までかかるとの予測もあり、サンズ社の今回のアクションは、未曽有の苦境の中で、自身が生み出したMICEモデルさえも否定せざるを得ない苦肉の策なのではないでしょうか。

 

◆横浜カジノにも待ったの声

2020年10月28日、横浜市の林文子市長は、誘致の是非を問う住民投票が実施され、反対多数だった場合は誘致を撤回する方針を示しました。

市民団体は、住民投票実施に関する条例案を市議会に提出するために必要な署名をすでに確保していますが、住民投票が実施されるためには横浜市議会での承認が条件となります。

横浜市議会の会派別名簿(2020年10月15日付)によると、IR誘致に前向きな与党派は自由民主党・無所属の会(36人)、公明党(16人)、否定的な野党派は立憲・無所属フォーラム(20人)、日本共産党(9人)、無所属(5人)となっており、おそらく住民投票実施に関する条例案は否決される見込みです。ただし、あまりにも強いアンチカジノの世論に押されて賛成票を投じる与党議員が出てもおかしくはありません。

私見ですが、林市長の「住民投票をして反対が多かったという結果が出れば順守すべきだ」との発言は、住民投票が実施されないことを前提としたポジショントークなのではと勘ぐっています。

 

◆さいごに

カジノから離れて約1年が経ち、カジノが猛烈に恋しい今日この頃ですが、おそらくコロナウイルスのワクチンが開発されるまでは、カジノはもとより海外に行くことすらお預けだと諦めています。

だからこそ日本カジノへの期待は更に大きくなっていたのですが、コロナ禍によって、日本IRはまったく先が見えない状況に陥っています。

そんな中、絶妙なタイミングで、アンチカジノ論でおなじみの静岡大学 鳥畑教授の論考動画が公開されていました。


【ニュース解説】IRカジノはもうオワコン? 見限られた日本(7分44秒)

鳥畑教授の論考に異論はなく、いちギャンブラーとしては、海外カジノは駄目、日本カジノも駄目、パチンコ・パチスロも駄目となると、いよいよ公営ギャンブルに本格的にチャレンジするかなぁと思っています。