コロナ禍がオンラインギャンブルの追い風に(イギリス)

ざっくり言うと

  • 英国のオンラインの賭け金総額は約4,743億円で、市場全体の52.3%
  • オンラインスロットが英国最大のギャンブルで、オンライン賭け金の69.3%を占める
  • コロナ禍でもオンラインギャンブルの割合は8%増加

2021年7月20日、イギリスでカジノやブックメーカーのレビューサイトを運営するLeanBackPlayer社は、英国のギャンブル事情に関する調査レポートを発表しました。

UK Casino Revenue in 2021: A Look at the Health of the Industry in Uncharted Times
(2021年の英国カジノ収入。未曾有の時代における業界の健全性を考える)

※本レポートは、2021年5月に英国ギャンブル委員会が発表したデータを基に分析がなされています。


英国ギャンブル委員会が提供する最新のデータによると、2020年4月から9月までの賭け金総額(GGY)は59億ポンド(約9,027億円)でした。

うち、オンラインベッティングとリモートベッティングの賭け金総額(GYY)は31億ポンド(約4,743億円)で、市場全体の52.3%を占めています。

イギリスでは、オンラインスロットが最大のギャンブルとなっており、2020年4月から9月にオンラインで賭けられた金額の69.3%をスロットが占めています。また、オンラインではルーレット(14%)とブラックジャック(6%)も人気となっています。

オンライン以外では、ナショナルロト(宝くじ)が16億ポンド(約2,448億円)で第2位、カジノのテーブルゲームなどの対面式ベッティングが6億2,930万ポンド(約983億円)で第3位となっています。

 

◆コロナ禍がオンラインギャンブルの追い風に

2020年は、世界的な新型コロナウイルスの流行で、イギリスのギャンブル業界も厳しい年となったようです。2020年の売上(GGY)はまだ発表されていませんが、2020年の半年分のGGYが約60億ポンドで、2019年のGGYは140億ポンドを超えていたことから、2020年のGGYは2019年を下回る見通しとなっています。

オンラインベッティングとリモートベッティングは、近年大きな成長を遂げており、年によっては20%成長することもあります。しかしながら、急成長中のオンラインギャンブルであっても、コロナウイルスには勝てなかったようです。オンラインギャンブルの割合は、8%増加し総賭け金の過半数を占めていますが、GGYでは6%の減少となっています。

この結果は、ランドベースのカジノがロックダウンによって閉鎖されたことで、多くのギャンブラーが代替手段としてオンラインに向かったことが要因だとされています。

 

◆さいごに

本レポートでは、コロナ禍で苦境に立たされた英国ギャンブル業界ですが、英国人のギャンブルに対する欲求は依然として強く、コロナが収束し気軽にギャンブルができるようになれば、ギャンブラーはお気に入りのカジノ(オンラインとオフラインの両方)に殺到し、ビジネスに新たな息吹を吹き込むことになると明るい展望を示しています。

ちょうど、「ギャンブリング害~貪欲な業界と政治の欺瞞」を読み終え、イギリスの政治家、ギャンブル業界、ギャンブラーの駄目っぷりを痛感したところでした。


ギャンブリング害~貪欲な業界と政治の欺瞞

文化人類学者の筆者が、ギャンブル関係者200人以上にインタビューし、時にはギャンブル店で働きながら観察調査を行い、イギリスのギャンブルの歴史、問題点を明らかにする本書。

イギリスのギャンブル産業は、1986年の賭博法改正を機にギャンブル先進国としての道のりを歩み始め、直近では、他国に搾取されるぐらいなら自らが搾取する側に回るべきとオンラインギャンブルにも積極的です。

イギリスの法制度の根幹には、ギャンブルは自分の意思でやるかやらないかを選択することができ、人は自己コントロールができる程度には強いという個人像あります。

ギャンブル推進派は、ギャンブルが個々人が選択するものと定義されたことで、ギャンブル業界の隆盛は自然な現象なのだから非難の対象にはならないと主張します。

一方で、イギリスには200万人以上のギャンブル依存症患者とその予備軍がいると考えられており、筆者は、ギャンブル業界と政治家が作り上げたこの現状に一石を投じています。

率直な感想として、日本は国内3ヵ所のカジノ建設に躍起ですが、イギリスを筆頭に世界のギャンブル先進国と比較すると、3周ほど周回遅れになっている感は否めませんでした。

また、日本ではオンラインカジノは違法にもかかわらず黙認状態で、1円のカジノ税すら生み出していません。日本政府がカジノからの税収に期待するなら、ランドカジノの建設よりイギリスに倣ってオンラインカジノの解禁を進めた方が有益なように思います。