
2018年のMICE収益は観光収入の22%(シンガポール)
ざっくり言うと
- 2018年のシンガポールのMICE収益は、観光収入の22%となる約1,749億円
- 中核施設では、3,600のMICEイベントが開催され約140万人が参加
- このMICE活況を受けて、IR施設は更に拡大へ
最近、IRやカジノのメリットを伝える調査レポートを堀り漁っているCAZYです。
まずは、こちらの調査結果からご覧ください。
英金融大手HSBCホールディングスの調査『外国人が働きたい国ランキング』では、日本が最下位から2番目となり大きな話題になっていました。
日本のランキングが著しく低いのは、何かが大きく足を引っ張っているのではなく、賃金最下位、ワークライフバランス最下位、子どもの教育環境最下位で、全ての項目において評価が低いことが原因です。
<TOP10>
1位 スイス
2位 シンガポール(昨年1位)
3位 カナダ
4位 スペイン
5位 ニュージーランド
6位 オーストラリア
7位 トルコ
8位 ドイツ
9位 アラブ首長国連邦
10位 ベトナム
<ワースト>
30位 南アフリカ
31位 インドネシア
32位 日本(昨年30位)
最下位 ブラジル
ここで日本の現状を憂えても何の慰みにもならないので、今回の記事は、今年のランキング2位(昨年1位)の優等生、IR(integrated resort)の名付け親であり、日本IRのお手本でもあるシンガポールの話です。
◆活況のシンガポールMICE
コリアーズ・インターナショナルの調査報告書によると、
・2018年のシンガポールのMICE(Meeting・Incentive tour・Convention・Exhibition)の収益は、22億シンガポールドル(約1,749億円)となり、同国の観光収入の22%を占める。
・シンガポールの観光収入は、GDPの7%を占める。
・その中核となったのがサンズ エキスポ & コンベンションセンターで、3,600のMICEイベントが開催され、約140万人が訪れた。
調査レポート:HOTEL INSIGHTS:A quarterly digest of key trends in the hospitality sector
※コリアーズ・インターナショナル・グループは、世界68カ国で不動産サービスを提供する業界トップクラスの不動産サービス会社です。
◆加速するシンガポール
2019年4月3日、このMICE活況を受けてシンガポール政府は、IR施設の拡大計画を発表しています。
シンガポールIRを運営するラスベガス・サンズとゲンティンが、それぞれ45億シンガポールドル(約3,578億円)を追加投資し、2010年の開業以来初となるリニューアルを行います。ちなみに、両社の2018年度売上計は約5,327億円です。
具体的には、「マリーナベイ・サンズ」は、既存ホテルに隣接する1000室規模の高級タワーホテル、1万5,000人収容のアリーナを設け、MICE施設を拡張する計画です。
「リゾート・ワールド・セントーサ」は、2つのホテルを新たに設けるほか、ユニバーサル・スタジオ・シンガポールにミニオン・パークとスーパー・ニンテンドー・ワールドの2つの新エリアを建設する計画です。
シンガポール政府によると、この拡張計画によって5,000人以上の雇用機会を生みだし、訪問者の50万人増加が期待できるとしています。
◆一方で、カジノ入場料は大幅に値上げ
IR拡張に先立って2019年4月4日、シンガポール居住者のカジノ入場料は、1日券が100シンガポールドルから150シンガポールドル(約12,000円)へ、1年パスは2,000シンガポールドルから3,000シンガポールドル(約24万円)へ引き上げられました。もちろん外国人は無料です。
カジノ入場料売上は、2013年の1憶7,000万シンガポールドル(約135億円)から2018年の1億3,100万シンガポールドル(約104億円)に減少しており、今回の入場料の値上げで、シンガポール居住者のカジノ離れは一層進みそうです。さすがに1日の入場料で12,000円払うぐらいなら、近隣国に遠征した方がよさそうです。
◆さいごに
今回の拡大計画は、確実に日本IRを意識してのものだと思います。
日本IRには、シンガポール以上のものを期待したいですね。
関連記事:「日本のIRはシンガポールから学べ」