ギャンブル依存症の治療に税金?

ざっくり言うと

  • 厚労省はギャンブル依存症の治療を公的医療保険の対象にする方針
  • ギャンブル依存症の患者数は3年間で1.5倍に増加
  • 依存症の治療に税金や保険料が投入されることに反対の声も

2019年11月20日、「厚生労働省がギャンブル依存症の治療に公的医療保険の適用対象とする方向で検討に入った」ことを複数のメディアが報じています。

この方針は、ギャンブル依存症に対する効果的な依存症集団療法プログラムが開発され、その効果が確認されたことを理由としており、厚生労働省は来年度の診療報酬改定に向けて結論を出すとのことです。


◆増え続ける依存症患者

厚生労働省の諮問機関「中央社会保険医療協議会」の総会で発表された資料によると、2014年度の2,019人であったギャンブル等依存症の患者数は2017年度には3,499人と1.5倍に増加しています。


ギャンブル等依存症の患者数(データ:厚生労働省


その他、ギャンブル等依存症だけでなく、薬物依存症も同様に3年間で1.5倍に増加。アルコール依存症は1.1倍と微増となっています。


依存症の患者数(出典:厚生労働省

 

◆税金や保険料投入に反対する声も

ギャンブル以外のアルコールや薬物の依存症治療には、既に公的医療保険や各種医療費助成制度が利用できるようになっおり、また、タバコ(ニコチン)依存症も一定の条件を満たせば、健康保険等を使って禁煙治療を受けることができます。

依存症は、物質依存とプロセス依存の2種類に分類されます。物質依存はアルコール、タバコ、薬物など特定の物質を原因とするもの、プロセス依存はギャンブル、買い物、SNS、性など特定の行為や過程に必要以上にのめりこんでしまう症状のことです。現在、公的医療保険などが利用できるのは、基本的に物質依存のみとなっています。

ネット世論では、依存症の治療に国民の税金や保険料が投入されることに対して、反対の声が多数あがっており、また、一部の有識者は、物質依存とプロセス依存を一緒くたにすることに疑義を唱えています。

 

◆依存症対策のコストを負担するのは誰?

2018年7月に成立したギャンブル依存症対策基本法では、国や地方自治体に予防、専門的な医療機関の整備、社会復帰の支援などの政策実施を定められています。また、ギャンブル事業者へのコスト負担については定められていません。

ギャンブル依存症対策基本法 第1条
「この法律は、ギャンブル等依存症がギャンブル等依存症である者等及びその家族の日常生活又は社会生活に支障を生じさせるものであり、多重債務、貧困、虐待、自殺、犯罪等の重大な社会問題を生じさせていることに鑑み、ギャンブル等依存症対策に関し、基本理念を定め、及び国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、ギャンブル等依存症対策の基本となる事項を定めること等により、ギャンブル等依存症対策を総合的かつ計画的に推進し、もって国民の健全な生活の確保を図るとともに、国民が安心して暮らすことのできる社会の実現に寄与することを目的とする。」


ギャンブル依存症対策基本法に則って、厚生労働省による方針発表の翌21日、大阪の松井市長は、下記のコメントを発表しています。

「パチンコを含むギャンブル依存症のリスクを抑え、脱却してもらえる取り組みは行政としてやるべき。(中略)日本ではパチンコを含むギャンブル依存症が多く、これまで真正面から向き合ってこなかったのは大きな問題。保険適用してできるだけ依存症のリスクを抑え、脱却できる取り組みを行政としてやるべき。」

 

◆さいごに

賛否両論があるのは承知の上で、自身が重度のギャンブル依存症だった経験から、CAZYはギャンブル依存症に税金が投入されることには反対です。

自身の過去を振り返れば、CAZYがまだ大学生だった頃、1年のうち365日はパチンコ店に入り浸っていました。それなりに勝ってはいたのですが、学生の分際で複数のサラ金から借りまくり合計で250万円ぐらいの借金がありました。当時のサラ金の利息は一年で約3割。大学生のアルバイトだけでは返済不可能な金額です。その後、サラ金にはずいぶん長いお付き合いになりました。おそらく過払い請求したら新車のBMWが買えるぐらいは貢献していると思います。

社会人になってからは、とにかくがむしゃらに働き、たまに行く海外カジノで一気に散財を繰り返してきました。ちなみに、負けた金額は都内一等地で新築4LDKのマンションが買えるぐらいです。当然のことですが、これまで借金を踏み倒したことは一度もありません。自身が相当苦労して、かつ、それを乗り越えてきたこともあり、すっかりギャンブル自己責任論者になってしまいました。

話を本件に戻しますが、今回の方針発表におけるネット炎上の原因は、厚生労働省の見切り発車にあるのではと思っています。

カジノ事業者は収益の30%(国15%、地方自治体15%)をカジノ税として納付し、国と地方自治体はカジノ税を観光振興や依存症対策に活用することが決まっています。そこで、依存症治療にかかる税金の捻出元をカジノ税に限定するような事前の調整はできなかったのかという話です。財政は門外漢につき的外れな発言であれば申し訳ありません。

省庁をまたいだ調整がいかに大変かは容易に想像できますが、少なからずこうすれば税金投入反対派は納得してくれたのではないでしょうか。