悪魔のルーレットが増殖中(ギャンブラーの破産問題より)

ざっくり言うと

  • 「000」があるルーレットで遊ぶのは厳禁
  • カジノでは、無策に長時間遊び続けるのは厳禁
  • ギャンブルの極意は、ベットマネージメンにあり

2019年10月のラスベガス遠征の記事では、ここ数年の間に、テーブルゲームのルールがプレイヤーに厳しくなっていることをお伝えしました。

①低レートのルーレットは、トリプルゼロが主流に
②低レートのブラックジャックは、1.2倍配当が主流に

今回は①について、この変化がプレイヤーにとってどれほど不利なのか、有名なギャンブラーの破産問題の公式を使って考察します。


◆まず、3種類のルーレットについて

これまでのルーレットでは、「0のみ」のヨーロピアンスタイルと「0、00」のアメリカンスタイルの2種類が主流でしたが、ここにきて「0、00、000(トリプルゼロ)」のメキシカンスタイルが急速にその存在感を増しています。

ヨーロピアンスタイル 37区分(1から36、0)
アメリカンスタイル 38区分(1から36、0、00)
メキシカンスタイル 39区分(1から36、0、00、000)

※メキシカンスタイルは、あまりにもハウスエッジ(胴元の取り分)が大きすぎてお客が近寄らず、廃れた経緯があります。


◆それぞれのハウスエッジ(胴元の取り分)

ヨーロピアンスタイル 2.7%
アメリカンスタイル 5.3%
メキシカンスタイル 7.7%

これをプレイヤーへの払い戻し率(期待値)で表すと、
ヨーロピアンスタイル 97.3%
アメリカンスタイル 94.7%
メキシカンスタイル 92.3%

このハウスエッジの差は、パーセントで表すとピンとこないのですが、毎回1万円を賭けて総額で1万円を失うまで何回遊べるかで表すと、

ヨーロピアンスタイル 38回(毎回270円失う)
アメリカンスタイル 19回(毎回530円失う)
メキシカンスタイル 13回(毎回770円失う)

つまり、理論上、メキシカンスタイルは、ヨーロピアンスタイルの3分の1しか遊べないことになります。いかにメキシカンスタイルが恐ろしいルーレットなのか、おわかりいただけると思います。


◆ギャンブラーの破産問題の公式

「ギャンブラーの破産問題の公式」とは、所持金が目標額に到達するための確率を算出するもので、経営戦略、株式投資、FXなどでも広く使われています。

今回は、所持金100ドルが、目標額(110ドル、120ドル、・・・200ドル)に到達する確率をヨーロピアンスタイル(0のみ)、アメリカンスタイル(0、00)、メキシカンスタイル(0、00、000)で比較します。

※前提条件として、毎ゲーム1ドルを赤黒のいずれかに賭けるものとします。
※説明を簡単にするため、最低・最悪の賭け方をした場合のシミュレーションです。
※実際には、こんな愚かな賭け方をする人がいないことは承知の上で。


<ギャンブラーの破産問題の公式>

赤黒のいずれかに賭けた場合の勝率
シングル(0):18/37=0.486486486
ダブル(0、00):18/38=0.473684211
トリプル(0、00、000):18/39=0.461538462


<「0」の数による破産確率の違い:グラフ>


<「0」の数による破産確率の違い:詳細>


◆解説

もっともプレイヤーに有利な「0」がひとつのシングルでも、元手100ドルを110ドルまで増やすことに成功するのは58%で、この時点で42%が破産します。
元手100ドルを150ドルまで増やすことに成功するのは7%で、この時点で93%が破産します。200ドルまで増やすことに成功するのは1,000人に4人だけです。

これまでの主流だった「0」「00」のダブルでは、元手100ドルを110ドルまで増やすことに成功するのは35%で、この時点で65%が破産します。
元手100ドルを150ドルまで増やすことに成功するのは0.5%で、1,000人に5人しか成功しません。200ドルまで増やすことに成功するのは10万人に3人だけです。

急速にその存在感を増している「0」「00」「000」のトリプルでは、元手100ドルを110ドルまで増やすことに成功するのは21%で、この時点で79%が破産します。
元手100ドルを150ドルまで増やすことに成功するのは0.04%で、1万人に4人しか成功しません。200ドルまで増やすことに成功するのは1,000万人に2人だけです。

100ドルを110ドルまで増やす最初の段階で破産確率は、シングルとダブルで1.5倍に、シングルとトリプルでは1.9倍に増加します。ダブルとトリプルの比較では1.2倍です。

 

◆さいごに

数学による分析について書けば書くほど、どんどんゲームテーブルから足が遠のいている今日この頃です。

さて、今回使った「ギャンブラーの破産問題の法則」が教えてくれることは3つ。

・「000」があるルーレットで遊ぶのは厳禁
・無策に長時間賭け続けるのは厳禁
・同じ額を賭け続けるのは厳禁

どうしてもルーレットで遊びたい人は、ダランベール法やフィボナッチ法のようなベットマネージメントをきちんと習得するか、運に任せて遊ぶならプレイ回数を最小限にとどめるか。そうでなければ、お金をどぶに捨てるようなものです。

ちなみに、ルーレットで勝つ確率を最も高くする方法は、赤黒のいずれかに全財産を賭けることです。そうすれば、わずか47.4%の確率で財産を倍にすることができます。

 

※サムネイル画像は、TCSJOHNHUXLEY社より