ギャンブルに必勝法なし、ただし必敗法はあり

ざっくり言うと

  • 毎年、M君が競馬で負け越してしまうのはなぜか
  • 連敗を読み解くキーワードは「大数の法則」「期待値」「分散」
  • 競馬で分散の小さい賭け方をした場合、期待値の75%に収束する

年明けの投稿「2020年、大荒れの中での船出」の中で、毎年、競馬で負け越すM君のことを書きました。統計の仕事に携わっていたCAZYから見れば、M君は負けるべくして負けていることがわかります。そこで今回は、M君が負け越す理由を、難解な数式を使わずできるだけ簡単に説明します。

 

◆大数の法則と期待値と分散

M君が負け越す理由を知るためには、はじめに下記の3つの言葉を正しく理解しておく必要があります。

「大数の法則」:
数多くの試行を重ねることにより事象の出現回数が理論上の値に近づく定理です。回数を重ねれば特定の目が出る確率は、コインなら2分の1に、サイコロなら6分の1に近づいていきます。

「期待値」:
ギャンブルにおいては戻ってくる見込みの金額のことです。期待値(=得られる可能性のある金額×その確率)などと表されます。「ハウスエッジ」(胴元の取り分)とは対をなす値です。期待値とハウスエッジを足せば常に100%となります。

「分散」:
データの散らばりの大きさを表す統計学上の指標です。分散が小さいほど全データが平均に近く、分散が大きいほど平均から遠いデータが多いことを意味します。


賭けの回数が増えれば増えるほど大数の法則が働き、その結果は理論値(ギャンブルでは期待値)に近づいていきます。言わずもがなですが、ギャンブルの期待値はそのほとんどがマイナスであり、期待値に近づけば近づくほど負けることを意味します。

また、本命を追い続けたり、同じ金額を賭け続けることは、分散を小さくして分布を期待値(マイナス)の周辺に集めることに他ならず、それが負けという結果に現れます。

競馬の期待値は75%しかなく、M君の馬券の買い方は本命重視、買い目数も参加レース数も多く、分散が小さくなる要素だらけです。そのため、M君の買う馬券は期待値の75%に収束し、毎年負け越す結果になっていることが容易に想像できます。



◆<クイズ>勝てるのは誰?

ある4人の男たちがルーレットに興じています。賭け方こそ違いますが、4人は毎回100ドルを賭けて楽しんでいます。では、100ゲームを遊んだ時、勝っている可能性が最も高いのは誰でしょうか?
また、負け額が最も少ない可能性が高いのは誰でしょうか?

大穴君:毎回100ドルを1数字に賭ける
中穴君:毎回10ドルを10数字に賭ける
3択君:毎回100ドルをダズンベット(1~12など)に賭ける
2択君:毎回100ドルを赤・黒に賭ける


<こたえ>
アメリカンルーレットのハウスエッジは約5.26%なので、100ドル賭ければゲームごとに5.26ドルずつ失っていき、それが100ゲームなので、理論上はトータルで526ドルを失うことに収束します。つまり、このゲームで勝ち越すためには、100ゲームを通して10,000ドルの払戻し(期待値から526ドルの勝ち)を確保する必要があります。

4人の賭け方を比較すると、分散の大きさは、大穴君 > 中穴君 > 3択君 > 2択君 の順となっており、100ゲーム後に勝っていてもおかしくないのは大穴君のみです。また、大負けする可能性が最も高いのも大穴君です。

大穴君は100ドルの1点賭けで、当たれば3,600ドルの払戻し。100回のうち38分の1の確率を3回当てればプラスになり、そこそこ運がよければありえる話です。中穴君は10ドルの10点賭けで、当たれば360ドルの払戻し。100回のうち38分の10(約26%)を29回当てなければプラスにはなりませんが、これはなかなか至難の業です。

逆に、負け額が最も少ない可能性が高いのは2択君です。また、プラスになっている可能性が最も低いのも同じく2択君です。

 

◆負けにくくするためには?

つまり、M君とは逆の賭け方をして、分散をできるだけ大きくすればいいという話です。

「本命をはずす」
本命はせっかく当てても低配当で、また、複数の賭け目を買っていた場合、トータルの賭け金を回収できないことも少なくありません。胴元を最も喜ばせるギャンブラーとは、小さく勝って大きく負ける客。逆に胴元が嫌うギャンブラーは、小さく負けて大きく勝つ客です。
ギャンブラーの中には、負けた時の倍賭け(マーチンゲール法)を必勝法にあげるプレイヤーもいますが、これこそ小さく勝って大きく負ける典型に他なりません。どこで勝っても最初の賭け金の2倍しか配当は得られないからです。同じ倍賭けなら、勝った時に賭け金を増やしていく方が、はるかにギャンブルの醍醐味を感じられるはずです。


「同一ゲームでの賭け目を減らす」
ルーレットの同じ数字に10回賭けた時、運が良ければ2、3回当たることもあります。一方、同一ゲームで10カ所の数字に賭けて運良くそのひとつが当たっても、残りの9個は必ずはずれです。賭け目を増やすことは、大数の法則に使づくことになり、つまりは負ける可能性が高くなります。ひとつのゲームで賭け目を増やすぐらいなら、ゲーム数を増やす方がまだましです。


「賭け金を増減させる」
賭け金の増減は、分散を大きくすることになり、大数の法則につかまりにくくする効果が期待できます。

 

◆さいごに

期待値がマイナスでそもそも負けて当たり前のギャンブルにおいて、それでもたまには勝ちたいと思うなら、できるだけ分散を大きくして勝負することをおススメします。