競馬場、競艇場、競輪場は増やせないのか?

ざっくり言うと

  • コロナ禍によって日本カジノ誕生は先送りに
  • 一方で、コロナ禍でも公営ギャンブルは絶好調
  • 60年前の呪縛(長沼答申)から解き放たれてレース場の新設を

2024年に誕生予定だった日本カジノですが、コロナ禍によって海外カジノは軒並み閉鎖され、日本進出をもくろんでいたカジノ事業者は資金繰りに窮し、日本国内もカジノどころではなくなりました。

また、世界の大手カジノ事業者は、コロナ禍から脱するのに数年かかるとの見通しを発表し、日本国内ではカジノ反対派が勢いを増しています。日本カジノの誕生は、いつになるのかまったく見えない状態となっています。

一方で、ここ数年、また直近のコロナ禍においても、公営ギャンブルはこれまで以上の活況を呈しています。

・中央競馬の上半期の売上は、1兆4,753億円(前年同期比101.5%)
・地方競馬の上半期の売上は、3,931億円(前年同期比123.8%)
・競輪の上半期の売上は、3,065億円(前年同期比8%減)
・競艇は、まだ公表されていませんが、前年同期比で115~125%と予想


<公営ギャンブルの売上推移>(単位:億円)
※2020年11月6日付

関連記事:コロナ禍にも負けない公営ギャンブル(2020年上半期振り返り)
関連記事:公営ギャンブル売上まとめ(2020)

 

◆カジノもいいけど、公営ギャンブルの強化を

日本カジノは、訪日外国人の増加、雇用促進、地方創生、財源確保などを大義名分としていますが、カジノ収益の7~8割は日本人客によるものになるとの予想もあり、また、今更、世界のどこにでもあるカジノが日本にできたところで訪日外国人が急増するとは考えづらい。

となると、いっそのことカジノではなく、好調な公営ギャンブルを強化する方が、雇用促進、地方創生、財源確保の近道になるのでは。

 

◆レース場は増やせないのか?

レース場を増やせないのは、法律として禁止されているからではなく、公営ギャンブルの過熱が社会問題化していた1961年(昭和36年)、総理大臣の諮問機関として設立された「公営競技調査会」(長沼弘毅会長)での、いわゆる長沼答申が原因だといわれています。

公営競技に関する現行制度と今後の基本的方策についての答申の件(長沼答申)

「公営競技は、その運用の実情において、社会的に好ましくない現象を惹起することが少ないため、多くの批判を受けているが、反面関連産業の助成、社会福祉事業、スポーツの振興、地方団体の財政維持等に役立ち、また大衆娯楽として果たしている役割も無視することは出来ない。また、これらの競技が公開の場で行われていることはより多くの弊害を防止する上において、なにがしかの効果をあげていることは否みがたい。従って、公営競技に関する今後の措置に関しては、代り財源、関係者の失業対策その他の方策等を供与せずに公営競技を全廃することはその影響することろ甚大であるのみならず、非公開の賭博への道を開くことになる懸念も大きいので、本調査会としては現行公営競技の存続を認め、少なくとも現状以上にこれを奨励しないことを基本的態度とし、その弊害を出来うる限り除去する方策を考慮した。これがため、おおむね左記の線にその必要な改正を加えることが望ましい。』(長沼答申)

具体的には、長沼答申の7番目に記された『公営競技場数、開催回数、開催時間及びレース数等については現規定よりも増加しない。なお、開催日は原則として土曜、日曜及び国の定める休日とする。が足かせとなっています。後段の開催日に関しては、1985年度から曜日に関係なく開催できるようになっています。

 

◆レース場を増やすことへの法的な制限は?

公営ギャンブルは、競馬法、自転車競技法、モーターボート競走法によって、その運営ルールが明確に定められれていますが、法律がレース場の新設を禁止しているわけではありません。

競馬法では、農林水産省が許可すれば、中央競馬12場、地方競馬は都府県に2場ずつ、北海道は6場以内なら競馬場の新設は可能となっています。

自転車競技法では、経済産業省が許可すれば、競輪場の新設は可能となっています。

モーターボート競走法では、国土交通省が許可すれば、競輪場の新設は可能となっています。

 

◆長沼答申は過去の遺物?

公営ギャンブルのあり方を示した長沼答申は、時代とともに形骸化の道をたどっています。

長沼答申:4番目(重勝式の復活)
『投票方法については、各種公営競技間の統一をはかりつつ的中率を多くすることにより、射倖心の加熱をさげるとともに、競技場における紛争を防止する見地から次のことを検討する。
(イ) 重勝式は廃止する。
(ロ) 単勝、複勝式を中心として連勝式はこれを制限すること。』

⇒複数レースの1着を当てる「重勝式」を復活させたのは、2008年、競輪の「チャリロト」。その後、2011年、最近、DAIGOさんが81万円を的中させて話題になった重勝式馬券「WIN5」が登場しました。


長沼答申:5番目(販売ルートの拡大)

『馬券、車券等の場外売場については、現在のものを増加しないことを原則とし、設備及び販売方法の改善(例えば売場数を増加し、それをすべて屋内にすること等)に努力すること。』

⇒インターネット投票は、1974年に中央競馬で初導入され、現在は中央競馬・地方競馬・競輪・競艇・オートレースの全国各地で開催されている全レースを対象に購入が可能となりました。、


長沼答申:11番目(広告規制の緩和)
『公営競技について過度の宣伝行為を行わないよう自粛する。』

⇒昨今のTVCMでもわかるとおり、公営ギャンブルの広告規制は、公序良俗を過度に乱さない、または、射幸心を過度に煽らないことを条件に、ほぼないに等しい状況です。

 

◆さいごに

レース場の新設は、そろそろ60年前の呪縛から解き放たれてもいいのではと思います。
公営ギャンブルは、雇用促進、地方創生、財源確保の目的において、カジノに匹敵する効果が期待でき、カジノがよくて公営ギャンブルがダメな道理は、どこにもありません。

そして、許されるなら、省庁の垣根を越えて競馬場、ボートレース場、競輪場、オートレース場が合体した公営ギャンブルの一大レジャー施設ができれば、そこはギャンブルファンの夢の国になるのでは。

 


<関連法令>
競馬法:第二条
中央競馬の競馬場は、十二箇所以内において農林水産省令で定める。
競馬法:第十九条
地方競馬の競馬場の数は、北海道にあつては六箇所以内、都府県にあつては各二箇所以内とする。

自転車競技法:第四条
競輪の用に供する競走場を設置し又は移転しようとする者は、経済産業省令で定めるところにより、経済産業大臣の許可を受けなければならない。
2 経済産業大臣は、前項の許可をしようとするときは、経済産業省令で定めるところにより、あらかじめ、関係都道府県知事の意見を聴かなければならない。
3 都道府県知事は、前項の意見を述べようとするときは、あらかじめ、公聴会を開いて、利害関係人の意見を聴かなければならない。

モーターボート競走法:第四条
競走の用に供するモーターボート競走場を設置し又は移転しようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、国土交通大臣の許可を受けなければならない。
2 国土交通大臣は、前項の許可をしようとするときは、国土交通省令の定めるところにより、あらかじめ関係都道府県知事の意見を聞かなければならない。
3 都道府県知事は、前項の意見を述べようとするときは、国土交通省令の定めるところにより、あらかじめ公聴会を開いて、利害関係人の意見を聞かなければならない。