もっとも正確なギャンブル人口推計、遊技障害の疑いは約40万人

ざっくり言うと

  • 日工組社会安全研究財団によるギャンブル人口推計
  • パチンコ・パチスロファンは約1,100 万人、宝くじファンは約3,119万人
  • 競馬ファンは約666万人、ボートレースは約160万人、競輪は約114万人
  • パチンコ・パチスロ遊技障害のおそれがある人は推計40万人

日工組社会安全研究財団内に設置されたパチンコ・パチスロ遊技障害研究会調査がすばらしい件。

日工組社会安全研究財団は、我が国の人々が犯罪と無縁でいられる安全で安心な社会を創るための研究及び事業を振興し、公共の安全と秩序の維持に寄与することを目的とした組織です。

 

◆ほぼ国勢調査と同じ手法で実施された調査データ

「本研究会では、18 歳から 79 歳までの住民票を有する日本国内在住者を母集団とし、この中から誰もが等しい確率で9,000人が選ばれるように設計した社会調査を行うことにした。(中略)調査は、まず郵送によって対象者宅に、調査票やウェブ回答用 ID 等の回答キットを送るところから始めている。数日後に、調査員が対象者宅を訪問し、回答をお願いした。対象者は回答にあたり、紙の調査票で回答しても、ウェブ回答用画面から回答してもよく、回答を返す方法も、①郵送による返送、②訪問員による回収、③ウェブ画面での入力の3通りから、好きな方法を選択できるようにした。(中略)結果、回答数は 5,173 人、有効回答数は 5,060 人(有効回収率 56.2%)であった。」(パチンコ・パチスロ遊技障害研究会より)



(出典:パチンコ・パチスロ遊技障害研究成果 中間報告書
※調査実施:2018年3月
※有効回答数:5,060サンプル
※現役プレイヤーの参加比率は、最近12か月にパチンコ・パチスロ遊技をしたことのある人582人が母集団

<推計人口順>
宝くじ:32.4%(31,190,000人)
パチンコ・パチスロ:11.5%(11,080,000人)
LOTO:9.3%(8,930,000人)
ナンバーズ:7.2%(6,930,000人)
競馬:6.9%(人口推計6,660,000人)
サッカーくじ:4.1%(3,980,000人)
競艇:1.7% (1,600,000人)
競輪:1.2%(1,140,000人)
カジノ:1.0%(970,000人)
オートレース:(550,000人)



◆パチンコ・パチスロ遊技障害のおそれがある人は推計40万人

同調査によると、調査回答者(5,060人)のうち、直近1年以内にパチンコ・パチスロを遊技し、パチンコ・パチスロ遊技障害尺度(PPDS)の設問に回答した人は558人。結果、「直近1年において遊技障害のおそれのある人」は21人で、「中等度以上」が16人、「軽度」が5人。この人数は、5,060人中の0.4%に該当し、日本全国の18-79歳人口に置き換えると約40 万人となります。

この結果は、巷で囁かれる「ギャンブル依存症患者数320万人や560万人」といった数字より、はるかに少ない人数となっており、調査のやり方やマスコミの報道に一石を投じています。

 

◆さいごに

インターネット調査結果をもとに人口推計を出している報道や記事を多々目にしますが、一応、調査のプロとして、これが誤ったアプローチであることは間違いありません。この件については、本調査レポートに的確な説明がなされていました。

「ウェブモニタ調査(インターネット調査)は、明らかにしたい社会集団(母集団)についての推計を行う調査方法としては適切ではない。特に人口推計などの出現率を求める社会調査として行う場合は、十分な留意が必要となる。ウェブモニタ調査の回答者は、通常の社会調査と異なり、調査で明らかにしたい対象集団(母集団)から誰もが等しい確率で選ばれるという抽出(確率標本抽出)の手続きを経ていない。このため、結果として得られたデータ、たとえば出現率は、社会におけるその集団が占める割合として一般化できない。しばしば、ウェブモニタ調査の結果をもとに「人口の△%が○○である」、またその比率を人口に展開して「日本の人口にあてはめれば□万人が○○である」といった記述を目にすることがあるが、それは間違いであり、そう言うことはできないのである。」(パチンコ・パチスロ遊技障害研究会より)

CAZYはインターネットリサーチ黎明期に調査会社を立ち上げ、そこからどっぷりリサーチのお仕事をしてきました。そして、ネットリサーチの有効な活用法は、特定のサービスや商品利用者から感想を聴取することであって、人口推計には不向きだと一貫して言い続けています。

例えば、下記はシングルーソースの調査パネルとしては国内最大規模の楽天インサイト社のギャンブルパネルのデータをもとにCAZYが作表しました。まず、50万人規模のインターネット調査にもかかわらず、前述の社会調査とは結果に大きな違いがあることがわかります。

とくに、地方競馬と競輪は、実際の市場規模より高いスコアになっていることが予想されます。その理由は、楽天インサイト社の謝礼は楽天ポイントで提供されており、そのポイントが楽天グループの楽天競馬(地方競馬)、Kドリームス(競輪)で使用できることによります。


<過去1年以内に遊興したギャンブル>


出典:楽天インサイト社ギャンブルパネル
※nは2021年調査の有効回答数

ただし、インターネットリサーチも無力ではありません。インターネットリサーチの調査結果だけでは、市場規模を推計するには不十分ですが、各ギャンブルの市場規模を相対的に比較する、または、経過を追うことで市場規模増減を知ることは可能です。


そして、社会調査は莫大なコストがかかるため、個人や一企業ではなかなか手の出ない調査手法です。おそらく、本社会調査も実査(アンケートの回収)だけで3,000万円以上はかかっていると思います。そこに調査設計、集計、分析などの工程が加わると費用はその数倍に及びます。

今回、莫大なコストのかかる社会調査を実施していただいたパチンコ・パチスロ遊技障害研究会には、感謝の気持ちしかありません。

くれぐれも、誤った報道やデータにまどわされることのないように!