稼げる?FXをギャンブルとして考えてみる

ざっくり言うと

  • ギャンブルに費やされていた資金が投資や投機に流れつつある
  • 「FXで勝っているのは1割だけ?」その真偽を探る
  • テクニックを学べばギャンブルよりFXの方が稼げる可能性は高い

「投資」「投機」「ギャンブル」は、明確に異なる概念ですが、コロナ禍による環境の変化、テクノロジーの進歩、生活者の金融リテラシーの向上によって、その境界が徐々に薄れつつあります。

「投資」とは、手持ちの資金を他者、あるいは自身の事業に出資することで、対価を狙う活動。

「投機」とは、相場の変動を利用して利益を得ようとする短期的な活動。マネーゲームとも称される。

「ギャンブル」とは、金銭や品物を賭けて勝負を争う運要素の強い遊戯。

一般的に、「投資」の代表格は株式、「投機」の代表格はFXや最近では仮想通過と言われていますが、ここにきて「ギャンブル」に費やされていた資金の多くが「投資」や「投機」に流れつつあるように思います。

今回は、「ギャンブル」の視点で「投機」の代表格であるFXについて考察します。

※FXは「投機」ではなく「投資」だと言う人もいますが、そこは本稿では大きな問題ではないため、お気に召さなければ「投資」と読み替えてください。

 

◆FXとは?

FX(Foreign Exchange)とは、一般には「外国為替証拠金取引」のことで、ドルやユーロなどの通貨の売買による為替の差によって利益を狙う金融取引です。少ない資金で大きなリターンを狙えることが特徴です。

FXで稼いでいる専業の人は、テクニカル分析(チャートにより将来の値動きを予想する方法)やファンダメンタルズ分析(経済や金融動向から将来の値動きを予想する方法)など、様々なノウハウを駆使して相場の動向を予測し勝負します。

言葉を選ばずに言えば、買った通貨(もしくは売った通貨)が上がるか下がるかの2択である点で、結果だけを見ればFXとルーレットの赤黒に大差はありません。唯一の違いは、予測に裏づけがあるかないかだけです。

また、勝負の仕方も人によってまちまちで、ポジション(通貨を買っている、または、売っている状態)が数ヶ月~数年単位の長期保有から、数日~数週間のスイングトレード、数時間のデイトレード、数秒~数分のスキャルピングまで、様々な投資スタンスがあります。

本稿は、FXの中でもよりギャンブル性の強いスキャルピング(数秒や数分単位で売買を繰り返し、小さな利益を積み重ねていく手法)について考察します。

スキャルピングについては、下記のページで詳しく説明されています。

FXのスキャルピングとは?5年で1億稼いだ私のノウハウの全て

 

◆FXのハウスエッジ(胴元の取り分)

ハウスエッジとは、ギャンブルにおける胴元の取り分のことで、宝くじは約50%、競馬・ボートレース・競輪は約25%、パチンコは約20%となっています。また、小さいゲームを何度も繰り返すカジノゲームでは、アメリカンルーレットで5.26%、バカラのプレイヤー側で1.24%(バンカー側は1.06%)、ブラックジャックで約0.5%となっています。

国内大手のFXでは、通貨の売買に手数料はかかりませんが、ハウスエッジ的な参加者に不利な要素としてスプレッドがあります。

スプレッドとは、買値と売値の差です。日本人に人気のドル円相場では、スプレッド(買値と売値の差)は、通常時0.1銭(0.001円)~0.2銭(0.002円)で設定されています。スプレッドが0.2銭の場合、ポジションを持った(スタートした)瞬間に0.2銭分の含み損を抱えることになります。

ここで、毎回同額でポジションを持ち、1銭動けば決済という条件でトレードすることを考えてみます。

利益方向に1銭動けば0.8銭分の利益
損失方向に1銭動けば1.2銭分の損失

勝率が50%の場合、期待値は―0.2銭。
(―1.2銭×50%+0.8銭×50%=ー0.2銭)

勝率が60%の場合、期待値は±0銭。
(―1.2銭×60%+0.8銭×60%=±0銭)

実際の取引では、毎回同額でポジションを持ち、1銭動いて必ず決済することはありませんが、この条件で勝つためには6割の勝率が必要となり、運まかせではFXで稼ぐことがいかに難しいかがわかります。

※本稿では、1日で売りと買いの取引を完結することを前提にしているため、スワップ(2つの通貨を交換するときに生じる金利差調整分)は考慮していません。

 

◆FXで勝っているのは1割だけ?

では、FXで実際に勝っている人がどのぐらいいるのかを考えてみます。

通説では、FXで勝っているのは1割だと言われていますが、まずは、その真偽を探るため、FXの勝敗を示すデータがないか調べてみました。

最初に、「海外FX wiki」を運営するRUNWAYS社が行ったトレーダー1,000人へのアンケート調査を見つけました。これによると、FXの生涯収支は「負けている」が48.9%、「勝っている」が31.1%、「変わらない」が20.0%という結果が報告されています。


さらに、もっと信頼性の高いデータがないか探したところ、世界7ヵ国でFX取引を行っているOANDA JAPAN社が発表した事業者側のデータがありました。これによると、2020年7月単月で口座資産評価額が増加となった同社のアカウントは約36%で、負けているアカウントの多くが0~20%の範囲で資金を減らしていたとのことです。

口座資産評価額の変化率の分布(2020年7月単月)
(出典:OANDA JAPAN

そして、単月ではなくもう少し長期の勝敗を示すデータがないか探したところ、少し古いデータになりますが金融先物取引業協会が発表した四半期単位の資金の増減を示すデータを見つけました。これによると、四半期単位では約4割が資金を増やしているという驚きの結果が示されていました。

証拠金増減口座割合(入出金調整済み)
(出典:店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会資料


これらのデータから、巷でささやかれる「FXで勝っているのは1割」は、一見誤りのように思われます。しかしながら、単月や四半期では勝っていても通期では負けているケースは多数存在するはずです。また、フランス金融市場庁が発表した2009~2012年に利益を出していた顧客は11%のみというデータもあり、長期的に見れば「FXで勝っているのは1割」という通説はあながち間違いではないのかもしれません。



◆なぜ「買う」か「売る」の2択なのに、ほとんどの人が負けるのか?

これは単純な話で、ハウスエッジが0の勝率50%の勝負でも、そのゲームをやり続ければ、最後は必ず破産します。わかりやすい話では、100万円の資金で1回当たり10万円を賭け続けた場合、勝った数より負けた数が10回多い瞬間が一度でもあると、その時点で破産となります。

例えば、勝率50%の勝負で、100万円の資金でスタートし、毎回全資金の20%を賭け続けたケースをエクセルで10回シミュレーションしました。100ゲーム後、資金は大きく減少し13万円に収束しました。つまり、運まかせでは、勝てないのは当然の結果という話です。

破産を回避するためには、テクニカル分析にしろファンダメンタルズ分析にしろ、予測の精度を高めて勝率を向上させるか、潤沢な資金で無謀な勝負をしないことが鉄則となります。

関連記事:そのギャンブルには、いくら賭けるべきなのか(ケリーの公式より)

 

◆さいごに

CAZYは、これまで様々な方法でカジノで勝つ人の割合を調べてきました。そして、推測の域を出ませんが、カジノで勝つ人は日ごとに見ると2~3割、滞在中のトータルでは1~2割、年単位では1割以下というひとつの結論に至りました。

今回、FXについていろいろ調べてみましたが、結果だけを見れば、カジノとFXの勝率に大差はなく、非常に近い結果で驚きました。両者には人を夢中にさせ、そして破滅させる何らかの共通する仕組みがあるのかもしれません。

しかしながら、カジノとFXには大きな違いがあり、FXには技術によって勝ち続ける人が多少なりとも存在しています。

ということで、本気で稼ごうと思うなら、カジノで運まかせの勝負をするより、しっかり勉強してFXにチャレンジした方がましなのかもしれません。

もしくは、カジノで勝負したいなら、技術介入要素の強いポーカーを極めるという方法もあります。ポーカーはカジノのメジャーゲームの中では唯一、プロが存在するゲームです。ちなみに、知り合いのディーラーさんは、バカラやルーレットなどの運まかせのゲームは一切やらず、いつも勝負するのはポーカーだけです。

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