読書感想『東京カジノパラダイス』

ざっくり言うと

  • 『朝倉恭介シリーズ』でおなじみの楡 周平さんの『東京カジノパラダイス』。
  • カジノ運営権を獲得してから開業までの舞台裏を描く社会派小説。
  • ギャンブルファンより、お仕事でカジノに関係する方におススメ。

話は、「日本にカジノができたところで、他国のカジノと同じでは間違いなく失敗する」というカジノ運営会社の見通しからスタートします。
他国のカジノに負けない日本ならではの大人のエンターテインメント空間をいかにして造り上げるのか。そのために奔走する主人公を通して、カジノ開業までの舞台裏を描く本著。

キレイごとではない、ビジネスとしてのカジノとは何なのか。
著者のカジノ事業の捉え方が、実に歯切れがいい。

「(VIP客は)スリルと興奮に毒されて、大金を湯水のように使う。違法行為で稼ぎまくったカネを表に出すために、カジノを使う。どれも人間の屑のやることだ。そして、そこにつけこみ、いかにして尻の毛まで毟り取るか。それを考えるのが俺たちの仕事だ。金持ちだけじゃない。貧乏人だって容赦しない。その点からいえば、俺たちもまた飛びっ切りの屑だ」


また、これから起こるであろう運営会社と行政のせめぎ合いを通して、行政の矛盾を歯に衣着せぬ物言いで明らかにしていくプロセスは実に爽快。

登場する官僚達があまりにも無能で笑えます。実際の官僚がものすごく優秀であることは承知の上で、省庁間の権力争いや、過度な保身主義など、思い当たる節はありますが。

『東京カジノパラダイス』楡 周平 (著),新潮社
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<amazonの紹介文>
カジノ計画が動き出した東京。元商社マンの杉田義英は、その運営権を獲得したカイザー社に転職。プロジェクトマネージャーのオリバーが、ジャパニーズカジノ成功の秘策は「飲む・打つ・買う」と確信、遊び好きの彼を見込んだのだ。杉田は、世界の超VIPが金を落とす夢のカジノを実現すべく、切れ者でミステリアスな美女・柏木とともに掟破りの作戦に奔走する!


これまでカジノ関係の書籍はかなり読んできましたが、カジノ・コンセッション(ライセンス)を獲得してから開業までの舞台裏をここまで詳細に描いた書籍はなかったように思います。ギャンブルだけでなく、カジノビジネスにも興味のあるCAZYには、めちゃめちゃ面白い1冊でした。