読書感想『確率論を信じて世界50か国のカジノで計8億円を稼いだ僕の人生』

ざっくり言うと

  • カードカウンティングの技術を駆使して、ひと財産を築いたギャンブラーの自叙伝。
  • カードカウンティングが有効だった古き良き時代の話。
  • カードカウンティングの仕組みとシャッフルマシンの解説まで。

「私は運なんてないと思っています―」

筆者の衝撃的なひとことからはじまる本書。

カードカウンティングの技術を引っ提げて、勝てるカジノを探しながら世界を行脚したギャンブラーの自叙伝です。

ひとつ前の読書感想で、森巣 博氏の『日本のハイローラー』を紹介しましたが、森巣氏を「炎のギャンブラー」と例えるなら、本書の筆者である野口氏は「氷のギャンブラー」といったところでしょうか。

本書では、冷静沈着に確率論を駆使して、確実に勝ちを積み上げていく筆者の姿が描かれています。

筆者は、25歳(1998年)からプロのギャンブラーとして、エチオピア、ケニア、ウガンダ、コンゴ、ザンビア、南アフリカ共和国など、勝てるカジノを渡り歩き、築いた資産は31歳(2004年)時点で5.4億円らしいです。

ちなみに、CAZYも初級レベルですがカードカウンティングの知識は持ち合わせています。カウントはあくまでも確率的な優位に立てる(それもわずかばかりの)という話であって、はたして本書のように短期間のゲームで連戦連勝できるのかは半信半疑です。

一方で、身ひとつでアフリカの危険地帯に飛び込んでいく筆者の度胸には感服でした。


『確率論を信じて世界50か国のカジノで計8億円を稼いだ僕の人生』,野口 健司(著), KADOKAWA
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<amazonの紹介文>
小学3年のときにコカコーラの空き瓶を酒屋に1本30円で引き取ってもらうことで商才に目覚め、同級生を組織して大規模に展開、8歳にして資産10万円を得る。その後はゲームソフトのせどり、パチンコ必勝法にて大学卒業時には資産1500万円に。習得者は日本で10人もいないと言われるカウンティング技術と傾倒する確率論に対する独自の信念をもって、25歳にして資産2億5000万に。現在も小売チェーン店の経営をおこなうかたわら、世界各国のカジノで稼ぐ日々を過ごしている。


本書を読む注意点としては、

本書では筆者の武勇伝が赤裸々に綴られていますが、カウンティングの詳細なテクニックは記載されておらず、この本を読んだからと言って、ブラックジャックで勝てるようにはなりません。

また、本書の出版は2016年ということで、すでにほとんどのカジノでカウンティングの対策が講じられているため、今さらカウンティングを習得したからといって、これまた勝てるようにはなりません。
あくまでも、古き良き時代の話です。
まぁ、貴重な儲け話を自ら公開するもの好きはいないということですね。

 

せっかくの機会なので、本書の中心になっているカードカウンティングについて、少し書いてみます。

ちなみに、CAZYは簡単なレベルのカウンティングは学んだので、ほとんど意味はないとわかっていても、無意識にカウントしていることが多々あります。

「生兵法は大怪我のもと」で、だから余計に負けているという話でもあるのですが。

 

カードカウンティングとは

そもそも、カードカウンティングとは、すでに使用された (見えている) カードをカウントし、まだ未使用のカードの山にどのようなカードがどのぐらい残っているかを推測する技術です。

カードカウンティングの第一人者は、エドワード・O・ソープ博士。
1962年に自身が米国数学会で発表した論文をもとに『Beat The Dealer』(邦題:「ディーラーをやっつけろ!」)を出版し本書がベストセラーになったことで、カードカウンティングは広く知られるものとなりました。

未使用のカードの山に絵札やエースがたくさん残っていると、プレイヤーにとって確率的に有利な状態、逆に少ないと不利な状態となります。有利な時にベットを増やし、不利な時はベットを減らすといった、賭け金のコントロールをすることで、プレイヤーが勝ちやすくなるという理屈です。

詳しくは、映画「ラスベガスをぶっつぶせ」を観てください。

法的な解釈では、カウンティングそのものは合法とされていますが、カジノ側はカードカウンターのカジノへの出入りを拒否できる権利を有しています。そのため、カードカウンターであることがカジノ側にばれると、カジノを追い出されることになるのでご注意を!

実際のカウンティングのイメージを「K-Oカードカウンティングシステム」を使って説明します。
カウンティングは、正確かつスピーディーな計算力と記憶力が必要とされていますが、それを極限までシンプルにしたのがこの方法で、広く知られる「Hi-Lo カウンティング」と基本的に同じです。

2・3・4・5・6・7は、「+1」
10・絵札・エースは、「−1」
8・9は、「±0(カウントしない)」

例えば、あるゲームで
【5】【K】【3】【Q】【K】【8】【A】【4】【8】【4】【A】
とカードが出た場合、
この「+1」と「−1」と「±0(カウントしない)」をすべて足すと、

+1 −1 +1 −1 −1 +0 −1 +1 +0 +1 −1 = −1
となり、このゲームのカウントは「−1」です。

同様に毎ゲームごとにカードをカウントし、その数を足していきます。
この累積のカウントが大きくなればなるほど、未使用のカードの山に絵札やエースがたくさん残っていて、プレイヤーが有利な状態を意味します。

「K-Oカードカウンティングシステム」の詳細は、下記の書籍で紹介されています。

『カードカウンティング入門』
オラフ・ヴァンクラ博士 (著), ケン・フクス (著),
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カウンティングの天敵はカタツムリ

カウンティングは、すでにカジノ側から対策が講じられていると書きましたが、それがシャッフルマシン(CSM:Continuous Shuffling Machine)、通称カタツムリ、デンデン虫の導入です。

「one2six Plus」 (写真出典:Scientific Games社)

カウンティングの肝は、すでに使用された (見えている) カードを記憶し、まだ未使用のカードの山にどのようなカードがどのぐらい残っているかを推測することです。

シャッフルマシンを使うテーブルでは、毎ゲームが終了するごとに使用したカードをこの機械に戻し、再シャッフルが行われるため、せっかく数えたカウントはその意味を失います。

仮にレインマンに登場するダスティン・ホフマンのように、すべてのカードを記憶できたとしても、カウンティングでの攻略は不可能となります。

「one2six Plus」の紹介動画

いろいろ書いてきましたが、結局のところ、ハウスに対してプレイヤーが確立的に優位となることはありません。つまり、ギャンブルはギャンブルでしかないということですね。
残念ながら。