読書感想『パチンコ利権 – 瀕死の業界に未来はあるのか?』

ざっくり言うと

  • パチンコを脱法ギャンブルと言い切る本著
  • IR推進法成立の裏にパチンコ業界への大きなメスが
  • パチンコ関係者だけでなく、カジノ関係者にもおススメの一冊

先週末は、宇佐美 典也氏の新刊、『パチンコ利権 - 瀕死の業界に未来はあるのか?』を拝読しました。率直な感想は、めちゃめちゃおもしろくて、時間を忘れての一気読みでした。

本著は、パチンコを脱法ギャンブルと言い切る歯切れの良さで、パチンコ店、パチンコメーカーだけでなく、警察の問題点や理不尽な点にまで深く切り込んでいます。論考がオブラートに包まれておらず、読んでいて気持ちのいい本でした。

また、業界の歴史、現状、諸問題の背景が明確にまとめられており、今後、さらに注目されていくことになるであろうギャンブル依存症や諸問題の断片的な知識がかなりすっきりと整理できました。

筆者、ならびに編集部の自画自賛のとおり、「これまで出たパチンコ業界の分析本の中では一番”まとも”な本」でした。パチンコ業界へのヘイトと憐みの本が大多数を占める中、調査に基づいた深い分析と業界への提言は一考の価値があるものだと感じました。


『パチンコ利権 - 瀕死の業界に未来はあるのか?』,宇佐美 典也(著),ワニブックス
https://www.amazon.co.jp/dp/4847097629/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_xftHCbTPMFS89

<amazonの紹介文>
「三店方式」めぐる「警察」と「ヤクザ」の歴史、「在日」と「北朝鮮」と「お金」の誤解と真実、凋落を招いた「AT機」と「MAX機」の大罪、「カジノ法案」と「ギャンブル依存症」の関係 ―― 元官僚でパチンコユーザーでもある著者が国、ホール、メーカーの利権争いにメスを入れ、〝グレー産業〟からの脱却を提言する!!

序章 私とパチスロの出会い 〜AT機、ST機が生んだ破滅への道
第1章 パチンコ利権の構造 〜三店方式をめぐるヤクザ、そして警察との関係
第2章 パチンコと在日と北朝鮮 ~朝鮮総連の暗躍と日本人の誤解
第3章 パチンコ業界の病理 ~カジノ法案とギャンブル依存症
第4章 数字から見るパチンコ業界の凋落 ~大逆風に見舞われた21世紀
第5章 パチンコ業界はこれからどうすべきか ~〝グレー産業〟からの脱却を提言


最後に、CAZYがとくに興味深かったところは、パチンコの取り締まりと「カジノ法案」』。(P109~112)

2015年に遊技産業健全化推進機構が行った実態調査で、161店舗258台の遊技機のすべてが非合法な違法機だったことに端を発する、いわゆる「釘曲げ問題」。突如、警察が手のひらを反して取り締まりを実施したことをカジノ解禁への布石がとする筆者の論考。ことの経緯が時系列でまとめられており、納得させられる内容でした。

カジノ解禁議論が白熱する中、2016年のIR推進法成立前に、政権の中枢から2015年のうちにパチンコのギャンブル性を下げるように指示があったと推測する筆者。以下、本著より要点のみ抜粋。

2015年5月 IR推進法案を衆議院に提出
2015年5月 警察庁が釘曲げの調査をすることを発表
2015年6月 遊技産業健全化推進機構が調査実施
2016年5月 警察庁が問題機種の年内撤去を要請
2016年12月 IR推進法成立

「このように見ると、IR推進法案成立に向けた背後で不正釘問題の対策が動いていたことがよくわかる。」(P112)

なるほど。なるほど。

今後のIR議論の中では、カジノ(合法ギャンブル)パチンコ(脱法ギャンブル)が一緒くたに、また、対比して語られることになると思います。少なからず、本著により脱法ギャンブルについて、頭を整理できたことはとても有意義でした。

パチンコ関係者だけでなく、カジノ関係者にもおススメの一冊だと思います。